Attack on Titan | ナノ


構って構って構ってダーリン

「ミカサ、エレン好き」
「はぁああああああああああ?!」
「エ、エレン落ち着いてッ」
アルミンに宥められるが、いやいやいやいや。これで落ち着いてられるわけねぇだろうがよ。遂にミカサも頭がおかしくなったかと頭を抑えるが、アルミンによるときちんと訳があるみたいなので、一応聞いておく。そうだよな。あのミカサだし。何かあったんだよな、きっとそうだ。
「えっとね、ミカサってばね」
「エレンちゅーしよ」
「昨日ハンジさん」
「エレン「ちょっと黙ってろミカサ」
ぐわしっ、と顔を思いっきり掴む。少し苦しそうな吐息にちょっと可愛いかなだなんて思ってしまうが、いや待て待て。家族相手だぞ。俺まで感化されてんじゃねぇっての。
「えっと、で、ハンジさんがどうしたって?」
まぁハンジさんの名前が出た時点で残念ながら大体の予想は出来ているんだけど。
「うっうん、あのね……昨日のことなんだけどさ……、」
分かりやすいアルミンの話を更に要約すると、ハンジさんのせいということらしい。いやもうこの際経緯とかどうでもいい。ハンジさんの実験に付き合わされてこんな結果になった、なんてよく聞く話ではあるし。同期でもよくあるが、先輩方がよく嘆いている。どれだけ実験台にされたんだか、数えるのも恐ろしい。
「それでどうすれば元に戻るんだよ。このままじゃ困るだろ」
みんなも。俺も。
ミカサも不本意にこんなことなって、少なからず嫌だと思う。いや、そう思って欲しい。
「そうだよね。そうなんだけど……」
「え、まさか」
「いっいやね!ちゃんと戻す方法はあるんだよ!あるけど……」
とっても言いづらそうにしてるけど、そんなに酷い方法なのか?確かにハンジさんだしなー。あり得なくはない、か。
「……うなじに、ダメージを与えること……なんだ」
「……え"、」
ミカサの。うなじに。ダメージ。
駄目だこりゃ。格闘術トップのミカサ相手にそんなことできるわけがない。いくらこんなヘロヘロでベロベロで頭イカれてる感じのミカサでも無理だろう。遠い目をしてぼそり。
「あとは明日の朝まで待つしか……」
現在午前9時。あと何時間この状態のミカサと付き合えばいいんだ。うっわー辛いな。ひたすらに辛いな。
「エレン、目が死んでるけど頑張って!」
女子力高めに応援されてもなぁ。アルミン腰引けてるし、どうせミカサは俺一人でなんとかしなくちゃいけねぇんだよな。今日が休日だということがひたすらに恨めしい。せめて何か訓練でもなんでも用事があれば。
「エレン、そろそろさすがに私も我慢できない。私はどちらかというと、痛められるより痛めさせる方が性に合っている」
アルミンの顔からサッと血の気が失せたのはそのせいか。なんて悠長に考察してる場合じゃないのか。
さっきまで押さえつけていた筈のミカサは何故か俺の手首を物凄い力で握っていた。爪が食い込んでいるわけでもないのに、どうしてこんなに俺の手は細くなってくんでしょうか。物理的に取れそう。あのぉ、肩からとかではなく、綺麗に手首だけもぎ取れる感じですかね。痛いのかなー……。俺が早くも意識をお空に飛ばし始めたのを見かねてアルミンが突っ込みに回る。
「ちょ、ちょちょちょちょミカサ何やってるのさ!エレンの手取れちゃうよ?!」
慌ててミカサの腕を引き離そうとするが、アルミンの力で引き離せるものなら俺そんなに困ってねぇんだわ。
「ミカサ離せって。SMとか俺無理だから。SMやりてぇなら他のやつあたれよ」
「じゃあ他のプレイならエレンは乗り気なの?」
「お前大分頭イカれてるな」
「えっなんて?頭の形が素敵?それは、どうも」
頭の形なんて一ミリも一言たりとも言ってないし、頭の形が素敵、の意味もイマイチ理解できない。どこ褒めてんだよ。で、ミカサも照れんな。
「ちょっとアルミン兵長とか分隊長とかやれそうな人連れてきてくれな……」
ってアルミンいねぇ。え、アルミン、え、いない?!ちょ、あいつ逃げたのか。
いやいや。俺、アルミンをもっと信用しろよ。あいつはそうだよ、間違った選択なんてしない奴だ。きっと誰か呼びに行ってくれたんだ。そうだそうだ。絶対そうだ。
「エレン、何をそんな怯えているの?不安なことがあるなら私に相談すると良い」
「お前にとっても怯えてるよ、俺は」
無表情でそう告げると、ミカサは何事もなかったかのように
「私に相談すると、良い」
威圧。謎の、威圧。
相談も何もお前さえ何とかできれば万事解決。俺は自由の身になれるんだが。本当にどうしたもんだと首を傾げるものの、ミカサと一対一の今、成す術などなく。考える時間さえもなく。
「特にないのならば、デートしよう」
「は?」
少し考えようとしただけでこれだ。なんでこの短時間にこんな突拍子もないことを思いつくんだか。
そりゃあ、ミカサだって年頃の女の子だし、そういう色恋沙汰に興味があるのは分かる。そういうもんだろう。でもそこで俺が相手なのはどう考えたっておかしい。別にミカサが嫌いだとかそういうわけじゃ決してないんだが、俺たちは血こそ繋がってないものの幼い頃から一緒にいた。そんな相手に恋愛感情なんか持てないし、持ってはいけない気がする。なんだろうなー、罪悪感?まぁ、そんな言葉で表しきれないけど。
「エレン、耳が遠いの?それなら診て貰えばいいけれど」
「心配無用だミカサ」
いや耳が遠いとか、そういう次元の話じゃ……ねぇんだよ。とにかくうなじに攻撃しないと俺がもたない。
絶望的だー……なんて目を細めていたら今度はきっと目が悪くなったのかとか心配されそうだからむしろ目を見開く。なんだろう、俺端から見たらかなり馬鹿っぽい。端から見なくても馬鹿な気は残念ながらするけど。
「じゃあ、どこに行こうか」
「どこにも行かねぇよ。行って何すんだよ」
「エレンとならどこでも楽しい。どこでもいい」
こんなことをいつもと変わらない表情でさらりと言ってのけるから恐ろしい。なんだか冷たくあしらった俺が悪いみたいな空気じゃねぇか。
もうホント、誰か……。色々辛い。だって家族にこの後数時間も愛の言葉囁かれたりするんだぞ。耐えられない。俺の中の何かが確実に壊れる。
こんなところで二人突っ立っててもしょうがないか、と思い直しここで1つ提案。
「どっか行くか?」
「え、本当に。本当にいいの、エレン?」
驚きが隠せないミカサはつい身を乗り出して――というか俺の体を思いっきり揺する。く、首がもげる……。いや、折れる。俺の生首が宙を浮くぅうう……て、え。なにそれ怖い。
「生憎天気も良いし。まぁどこか行くなんて言っても街に行くか散歩に行くかの2択に近いけどな」
調査兵である以上、行く場所なんて決まってくる。いつ召集がかかるか分からないから、遠出なんてできるわけないし。うむ、なかなか調査兵ってのも辛いんだな。志願した俺が言うことじゃないか。
「もうすぐお昼になる。……から街に食べに行こう。この前アルミンに教えて貰った美味しいお店を知っている」
「へぇー。それは楽しみだな。じゃあちょっと待ってろ。外出許可取ってくるから」
すっかり出掛けることになってしまったが、たまにはこんなのもいいかなんて割りと悪い気はしていない。状況が状況なだけに素直に楽しめるかは定かじゃないけど。


…あとがき…
ぷちぃ様のみお持ち帰りどうぞ!こんなものですみません;;
改めてコメディ書こうとするとワケわからなくなりますね(遠い目)

題名はこちらのサイト様から
ラガーフリークは独りきり

更新(27/02/19)


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