Kagero project | ナノ


真夜中の贈り物

「星、……きれい」
窓越しに夜空を見上げながら、誰に言うわけでもなく呟いた。その言葉につられて、自分も星を見ようとマリーに近づく。
「セト、ほら、きれいでしょ」
瞳をキラキラさせながら、嬉しそうに言う。マリーの方が綺麗だと、うっかりそう言いそうになって慌てて視線を夜空に向ける。
「綺麗、っすね。久し振りに星なんて見たっす」
「私も久し振りかな。最近は雨が続いてたから」
言われてみれば。最近は接客が多く、移動でしか外に出ないためか、天気なんてほとんど気にしていなかった。もう少し、余裕を持って過ごせたらとは思うものの、あいにく自分はそんなに器用ではない。
「今日はね、雲ひとつないぐらいの青空が見れたの。小鳥さんも喜んでたよ」
音符が見えそうなぐらい、るんるんと報告するマリーが微笑ましい。俺の癒し。不思議と見てるだけでこちらまで気分が良くなる。
「バイト、忙しい?」
「……そう、っすね」
「そっ、かぁ。」
少し考える素振りをして、マリーはもう一度口を開いた。
「あのね、私、セトとお出かけしたい」
唐突にそう言われて、面食らう。え、ええ?俺もしかしてマリーに寂しい思いさせてたのか?いやでもバイトで仕方ないのはマリーも分かっていたはずで。だったら尚更、寂しかった?
ぐるぐると思いついては、消えて、を繰り返す。そんな俺を見て、可笑しくなったのか、マリーは屈託なく笑う。
「ふふふ、セトが動揺してる」
「いや、だって、そんな、唐突な、……、俺だって動揺くらいするっす」
ムキになって答えると、マリーはまた笑い出す。
「お出かけって、行きたいところでもあるんですか?」
「行きたいところがあるから行きたいってわけでもないんだけどね。セトとならどこでも良いんだけど、私はプラネタリウムに行ってみたいなぁ」
しれっとそんな恥ずかしいこと言わないで欲しい。順調に熱くなる顔に反してマリーは涼しい顔をしている。
「……じゃあ、今度の休みに行くっす」
まともにマリーの顔が見れないので、星空をじっと見つめる。そうでもしなきゃ、こんな台詞言えない。
「……ほんとうに?!いいの?!」
マリーが嬉しそうに俺のつなぎを引っ張る。ああ可愛い…。そんなに喜んでくれるなら、俺から誘うべきだった。軽くそんな公開をしながら、マリーの方に向き合う。
「いつも寂しい思いさせてごめんなさいっす。本当はもっと一緒にいられる時間を作りたいんっすけど……」
「んーん、いいの。たまにでもこうやって一緒にいられるだけで私は十分だよ。だから、どこかに出かけなくてもいいから、セトが私の横にいてくれればいい」
星空に照らされていつもよりマリーの顔がキラキラして見える。そんな嬉しいこと言われたら、俺はどんな顔をしたらいいんだ。
「……ありがとう」
「ふふ、こちらこそいつもありがと」

「「これからも、よろしくね」」

キリリク、くるっぽー様からカゲプロで恋愛もの、でした(*´-`)カゲプロで恋愛となれば定番のセトマリ!…みたいなイメージが強かったので(笑)
くるっぽー様のみお持ち帰り可能です。

タイトルはこちらのサイト様から
サンタナインの街角で


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