Kagero project | ナノ


闇に紛れて君を探しに

「えー、またいなくなっちゃったのー?」
「ご、ごめっ、ごめんなさ、」
「いや、何でセトが謝るのさ」
めんどくさ、と溜め息を吐くと、セトが自分のことかと慌てる。
違う違う。セトのことじゃなくていなくなったキドの方。
「しょうがないよね、ホント。姿が見えなくなるんだからさ。もう毎度毎度探しに行かなくちゃならない僕の身にもなって欲しいよ」
「き、キド、……今回はね、何の前触れもなくいなくなっちゃって……、」
「あれま」
いつもは僕やセトと喧嘩したときや、施設で嫌なことがあったときにいなくなる。それも能力をバッチリ使って、ひっそりした誰もいないようなところへ。当然、そんなことしたら施設の人に迷惑をかける上に、連帯責任で僕やセトまで怒られるから、バレる前に僕たちが探しに行く羽目になるんだけどさ。はー、どこに行ったんだか。
「セトはここにいて良いよ。僕が探してくるからさ」
こんな時、僕の力って便利だと思う。バレずにこの部屋から抜け出すなんて造作もない。
「う、うん。毎回ごめんね」
「だから謝らなくていいって。セトのせいじゃないしさ」
そう僕が言っても申し訳なさそうな顔をする。
セトも探したい気持ちはあるんだろうけど、セトはあまり人を探すのに向いてない。能力もそうだけど、なにしろどんくさい。たとえキドを見つけられたとしても、キドと揉めそうだし。
「じゃ、いつも通りにしててね。あと施設の人が来たらそれとなく誤魔化しといて。晩ごはんまでには見つけられると思うから」
部屋のドアの前に立つと、いつもの施設の人を思い浮かべる。後ろからセトの「ひっ」という声が聞こえたからきっと上手く化けれたんだろう。
ドアノブをゆっくり開けて堂々と歩く。キド、待っててね。早く見つけてあげるから。
そう呟いて暗い施設の外へと一歩踏み出した。

…あとがき…
過去拍手お礼文。幼少期3人は本当に可愛い。特に幸助は超可愛い。

題名はこちらのサイト様から
確かに恋だった

更新(27/11/14)

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