Kagero project | ナノ


いつもお世話になってます

「はぁ...遅くなっちゃったっすね」
さすがにもう寝てしまっただろう。なんせ今は夜の12時過ぎ。普段からあまり夜更かししない人たちだし当たり前か。
「あれ、キド?」
ソファーの方に目を向けるとそこにはキドがいた。俯いて座っているが全く身動きしない。
声を掛けても返事がないし、おそらく眠ってしまっているだろう。

今日は3月28日。つまり俺の誕生日。
今年はマリーがお誕生日会を開くと張り切っていた。だから早く帰ってこようと思っていたのに、先輩たちにいろんな仕事を押し付られ、いつのまにかこの時間。
みんな待っていてくれただろうに申し訳ない。きっと人一倍責任感のあるキドのことだ。最後まで待とうとしてくれたんだろう。
まだ部屋が誕生日会仕様のままだ。
「ごめんっす」
ぽん、と頭に手を乗せて謝る。
昔は逆だったっけ。いつも俺は泣いてばっかりでキドやカノに頭をぽんぽん、と軽く撫でられていた。
『大丈夫だよ』って。うわべだけじゃないそんな言葉にいつも安心させられてた。
なんだかんだ言っても今もキドに頼ってる部分がある。昼間俺がバイトでいないときにマリーに構ってくれてたり、アジトのこと、全部やってくれている。
お姉ちゃんも言ってた。つぼみは強い子だよって。俺も本当にそう思う。
この前マリーがここのメンバーとして正式に加
入してからずっとマリーに気を遣って見てくれてる。
「俺も、しっかりしなくちゃっすよね」
「セトは今のままでも充分だ」
「わっキド起きてたんすか?!」
いきなりキドの頭に乗せていた手を掴まれびっくりした。びっくりしたどころじゃなく心臓が止まるとこだった。まだ胸がどきどきしてる。
「お前はいつも遅い時間まで働いてくれて、我がメカクシ団の生活費を一人で支えてる。マリーも最近内職を始めたが、ほとんどお前に頼りきってる状態だ。全然俺よりもしっかりしてると思うが」
「そんなはっきり言われると照れるっす......でもそんなことないっすよ?まあそんなことよりも誕生日会、待ってくれてたんすよね?」
俺がそう訊くと照れているのか、キドはフードを深くかぶり直して小さく頷いた。
「じゃ、ケーキとか勿体ないっすし二人で食べちゃうっす」
「そ、そうだな」
そう言って立ち上がり、テーブルに行こうとして
キドは「あ」と声をあげた。
「なんすか?」
「セト、改めて誕生日おめでとう。それと」
普段あまり笑わないキドがにっこりして言ってくれた。なにこの破壊力。やばいっす。かわいすぎるっす。
「それと?」
湯気が出そうなくらい顔を真っ赤にして一言。
「そ、その……好き、……だぞ」
「俺もっすよキド!」
俺は我慢できなくなって後ろから抱きついた。
その直後照れ隠しに俺が殴られたのは言うまでもない。

…あとがき…
ってなわけでセト誕生祭です。頼むからもっと出番を、、、
とにもかくにもセトさん誕生日おめでとう!!

更新(26/03/28)

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