※『いつか、逢ったね』完結後未来
「前世では誰かさんが結婚はしないとか言ってたからナ〜。ウェディングドレスなんて着たことないアル」
「何それ、嫌みかよ?」
「さあナー? 事実を言ったまでアル」
「へェへェ、そうかよ。だったら尚更着たいんじゃねーの? ブライダルショーなら堂々とドレス着れるじゃん」
「それとこれとは別なのヨ!」
「……意味分かんねェ」
「とにかく! 今回の仕事は受ける気ないから。私の本業は音楽なんだし、断っても今後に支障はないはずネ」
「そりゃ支障はねーだろうけどさ。お前、最初に仕事の話来た時は結構乗り気じゃなかったか?。俺はそういうのは一切断ってるけど、お前はガールズコレクションとかにも喜んで出てたじゃん。可愛い服が着れて嬉しいとかキラキラな瞳になってさ」
「……ウェディングドレスとなると話は変わってくるのヨ! 男はあんまり知らないかもしんないけど、未婚の女性が白いウェディングドレス着ると婚期が遅れるってジンクスが昔っからあるネ。色のついたドレスならよかったんだけど、訊いてみたら私には白のドレスだって言うんだもん。前世で叶わなかった幸せな結婚を、自分から遠ざけるような真似はしたくなかっただけアル」
「神楽……」
「な、何ヨ。私だってそういう夢くらい見てるんだからナ!! らしくないって笑うアルか!?」
「いや、お前さァ……それ、取り越し苦労ってか、いらない心配っつーか」
「はぁっ?」
「要は、早く結婚してェってことだろ?」
「へっ!? そっ、それは……まあ、そういう意味にも取れちゃうアルナ」
「ふーん。早く結婚出来れば、相手は誰でもいいのかなー?」
「なっ!! こんのドS〜っっ。そんなのっ。私が総悟以外と結婚したいなんて有り得ないの、分かってるダロ!?」
「だってなァ……まさか神楽から逆プロポーズ来るとは。俺としては、神楽の仕事が落ち着いてからと思ってたんだけど」
「……えっ。総悟、ソレって、」
「変なジンクスなんか気にする必要はねェってこと。別に結婚前に白のウェディングドレス着たところで、婚期が遅れる心配なんざするだけ無駄だっての」
「……じゃ、じゃあ、仕事受けた方がいいアルか?」
「何、ジンクス関係なければ着てもいいんだ?」
「うぅ〜ホントのこと言うと、本物の結婚式に取っておきたいのが乙女心というか」
「なら、断っていんじゃね?」
「今回は断る、アル。……でも。前から思ってたんだけど、総悟は、私がああいうショーとかに出るの喜んでくんないアルナ」
「そりゃそうだろィ。こないだ着てたのなんか、際どい短さのマイクロミニのスカートだったし? ただでさえ露出高いドレスとか日頃からステージで着てるカノジョを持つ男としては、これ以上他のヤローに見せたくないんだっての」
「ふぇ……や、やきもち、アルか!?」
「今頃気づくなっての。分かっちゃいたが、ほんっと鈍いよなァ」
「だって、やきもち妬くの、いっつも私ばっかりだし」
「しゃーねェなー。んじゃあ、お互いこれ以上ヤキモキしねェように、さっさと入籍でもしとく?」
「──今のは聞かなかったことにしとくネ。モノのついでにサラッとプロポーズとか全然ロマンの欠片もないアル!」
「何でィ。てめーだって、さっきサラッとプロポーズかましてくれてたんじゃねーの?」
「あぁーっっ!! あ、あれはカウントなしでーーーっっ!」