*初出:きらら☆blog*おっかぐinどらくえ3!
*続・勇者アルス視点。Bの続きに+してblog掲載分に微妙に加筆!
「いや、あの。2人とも歳の割に若々しくてスゴいな、って話をですね……」
「若々しい? あー、童顔だとはよく言われっかもなァ」
「中身が中二だから仕方ないアルナー」
「てめーはロリの貧乳だけどなァ」
「貧乳言うなヨ! 微乳の美乳だからいいんじゃないかって言ってたのはどの口アルかぁー!!」
あ、また始まった──。
溜め息をつきつつ、話を逸らせたことに安心して。チラリと、隣のきららさんを見てみると。
「微乳の、美乳?」
「え、反応すんのソコー!?」
「……モノは言いようよね、って思ったものだから」
そう言うきららさんはどうなんだ、なんてウッカリ思って不躾に隣の胸元に視線をやってしまった。ちなみに、きららさんは何気に出るとこは出てるタイプ。あぁぁぁ……! 僕ってば、何をどさくさに紛れて考えてるんだ!!
「なぁに? 私の乳が気になるの? 勇者様といえども、やっぱり男なのね」
「うわっ、いやっ! ごめんなさいっ」
「いいわよ、別に見るくらい。揉まれた訳でもないし」
あっちなんか、本当に揉んでるけどね。なんて、呆れ顔のきららさんを見てから、言い争いを続けていた総悟さんたちを見てみれば。
「ついでに感度も抜群でさァ。マジでエロい躰になったよなー、神楽ちゃんは」
「オマエが年がら年中盛ってるからアル! いい加減に自重しろヨ!! せめて人前でくらいはっ」
「人前でなきゃいーんだ? いつになく素直だねィ。ツンデレもいいが積極的なのも萌えんな、おい」
──確かに、人前で胸揉んだりとかは自重して欲しいかなぁ? 僕がチラリと見たりするくらいじゃ、てんで可愛いもんだと思うんだ。
「ねぇ、アルス」
「えっ、はい!? ごめんなさいっ、また胸見てしまいました!」
「……あら、そうだったの? 気づかなかったわ。実はアルスってムッツリスケベだったのねぇ」
「うわーっ! だからごめんなさいっっ」
「ふふふ。いいわよ、別に」
どうしようか、もう僕、きららさんにムッツリな奴だと思われ続けるのかな。それって、男としてどうなんだ。
「そんなことより。ひとまず、あのオープンスケベの変態をそろそろ片づけたいんだけど、殺っちゃっていいかしら?」
「き、きららさん……?」
ヒュオーーーーと。風が吹き上げる音が、すぐ隣から聴こえてくる。いつも、回復呪文で僕たちを癒やしてくれている彼女だけれど。
「あ、あれ? もしかして、バギとか唱えようとしてませんか!?」
僧侶であるきららさんが、唯一覚えている攻撃魔法(真空系)。それがバギ。敵にすら放っているのを滅多に見たことがないのに、それを総悟さんに向ける気のようだ。
「もうちょっとレベルが上がればザキ(即死魔法/習得Lv.22)で一撃なのにね……」
「ちょっ、それはやめて下さいよ!? 笑顔でそんなこと言ったら冗談に聴こえないんですけどっ」
「それはそうよ。本気で言ってるんだもの」
氷の微笑──。いや、ホント、この人は敵に回したくない。総悟さん、絶対いつか殺られそうな気がする。きららさんなら殺りかねない。
「総悟っ! いい加減にしないと、きららちゃんが笑顔で怒るネ! とばっちり食らうのは嫌アル……」
ああ、神楽さん。一歩遅かったかもしれません。轟音を立てる真空の刃が、今正に、大きな渦を巻いて──って、それバギっていうよりバギクロス(真空系・最強)級じゃないですか!? レベル足りないはずなのに何で使えてるんですかっ。
「げっ……。ちょっ、待て! 俺が悪かったからその魔法取り消していただけませんか!? きららさまーっ!!」
「問答無用。覚悟なさい、このエロ魔神!」
「っっ!?」
あああ……何だろう、コレ。僕らの目的って魔王討伐だったと思うんだけど。
「ふぉ〜。やっぱりきららちゃんはおっかないアルナ」
「勘弁して下さいよ、ホント……。あの氷の微笑見たら、背筋凍りそうになるんですから」
「あのバカは自業自得だから仕方ないネ」
「いやいや、神楽さんもああなる前にどうにかして下さいって。僕じゃあ、どう頑張ったって総悟さんに適う訳ないんですから!」
「ん〜。アルスもベギラマとかライデインとかぶっ放しとけば黙るんじゃないアルか?」
──うわぁ。今、ちょっとだけ総悟さんが可哀想、っていうか哀れに思えてきた。彼女……なんだよね、神楽さん?
「さて。次の目的地は何処かしら? 私としては、そろそろ賢者に転職する準備に入りたいのよね。ダーマ神殿ってそろそろ近いの?」
「……もしかして、僧侶から賢者になれば、更に攻撃魔法覚えられる、とか思ってます?」
「そうね。手始めにメラ(火)系でしょ。私的にはヒャド(冷気)系が一番楽しめそうだと思うんだけど、どうかしら?」
ヒィーッ! 凍らせる気だよ、この人!!
今後の総悟さん殺害プラン(!)を笑顔で語る、見た目は可憐な美少女(17)の隣で。冷や汗ダラダラの名ばかりの勇者が1人、途方に暮れ──。
「……バギで服切り裂いて素っ裸にするとか、アイツが一番のドSじゃね!?」
「懲りずにセクハラ発言繰り返すオマエは、きららちゃんが言う通りドMだけどナ」
「もう懲りた。ぜってーやんねェ。……ってことで、取り敢えず着るモノどうにかしてくれませんか、神楽さん?」
「この際だから、いるか分かんないけど、こっちの世界のお巡りさんに不審者として捕まってみるアルか?」
「ちょっ……お前、その顔本気じゃね!?」
「ふっふーん♪」
このパーティーは、とにかく女性に逆らっちゃいけないようです。ああ、僕、本当に父さんみたいな偉大な勇者になれる日が来るんだろうか……?
______中断しますか?
→はい
*勇者アルスの憂鬱_2nd*