short_story


*初出:きらら☆blog*

*未来・恋人設定/原作40巻メール話から妄想


 最近出来た俺の彼女に、連絡手段を増やしたいとか何とか適当な理由を付けて、携帯を買ってやった。
 あいつの性格からすれば、用もないのに電話したりなんかしないだろう。メールともなれば、そんな面倒なことする気も起きないとか言いそうだ。

「あれ、沖田さん。携帯替えたんですか?」
「おう。チャイナに携帯買ってやったついでにな。機種変しようかと、ちょうど思ってたとこだったし」
「彼女に携帯ですか〜。やっぱり隊長ともなると、使う額も桁が違いますよね」

 ニヤニヤしている山崎の顔を見ていてもムカつくだけだし、ノーリアクションのまま、その買ったばかりの携帯を開いて見る。

「……あ? メール10件!?」

 確かに、暫く携帯チェックはしていなかったが。そうは言っても、さっき会議が終わったばかりだから精々2時間くらいのはずだ。俺が携帯から離れていたのは。

「メールですか? 沖田さん、あんまりしないですよね。もしかしてチャイナさんからですか?」
「うるせー。黙ってろ」
「えぇっ!? 俺が何したって言うんですか……」

 取り敢えず、チェックだ。


メール10件>>

送信者>>チャイナ、チャイナ、チャイナ、チャイナ、チャイナ……

「マジでか」

 何だ、この展開。あいつ、そんな大事な用事でもあったのか? 慌てて、本文をチェックすることにする。


件名>>おはよう!
本文>>もう起きてますか?


「……? 別に、重要とかじゃ、ねェ?」


件名>>お仕事がんばって
本文>>私は定春の散歩中です


「は、はぁ……?」

 何だ、コレ。散歩中、ってーことは、公園に来いってことか? よくベンチで昼寝してると、あいつに攻撃食らわされてたしなぁ。


件名>>いい天気だよ
本文>>空がとっても青くて空気もおいしいです


「な、何なんだ????」



 ダメだ。全く意図することが分からねェ。他のも見てみたが、大差ない文面が並ぶだけ。
 一体、こいつは俺にどうして欲しいというのだろうか。


* * * * *



「だからって、何でメール返さないで直接来るアルか」

 今まさに、新たなメールを打とうとしていたチャイナを見つけた俺は、訳が分からん今の気持ちをそのままぶちまけてやった。

「ただ伝えたいこと、メールで送っただけネ。何か変アルか?」
「や……変、っつーか。てめーがマメなのが意外だった、っつーか」
「失礼アルナ。私はいつでもマメな女アル」

 まあ、意外ではあったが。うん。正直、ちっと嬉しくもあったというか。

「あー。その、何だ。お嬢さん?」
「何ヨ?」
「この最後のメールさ。最後切れてたんだけど、続きは何なんでィ?」
「アリャ? どこで切れてたネ!?」

 携帯を覗き込んでくるチャイナとの距離が、その瞬間一気に小さくなって。

 その時を狙っていた俺は──。

「好き、だ」
「うぇっ!?」

 耳元で囁いてやれば、首まで真っ赤に染まるチャイナが100mくらいは一気に遠退いていってしまった。

「きゅ、急にんなとこで喋んなヨ!!」
「えー? 問題はそこかよ? 内容はどうでもいい訳?」
「だ、だ、だだだって!!」

 チャイナからのメールで、最後の切れていたものは──。


件名>>質問です
本文>>私のこと、す


「だから、好きですか? って訊こうとしたんだろ?」
「う……う、ん」
「そんなんだったら、メールなんかじゃ足んねェよ。いくらでも、聴こえるように言ってやらァ」

 真っ赤になったまま、俺を見上げてくる彼女にムラムラ。取り敢えず、理性ストッパーを一つ外させて下さい。

「チャイナ──」

 桃色に染まる頬に、チュッと一つ。更に額にも一つ。ワザと音が聴こえるようにリップ音を響かせ……小刻みに震えながら、ぷるぷるに濡れる口唇に特別長めの接吻を。

「んっ……、ふっ、っつ!」

 途端に呼吸が整わなくなる彼女に、欲望がエスカレートしそうになる。

「ほーら、目ェ開きなせェ」
「はうっ……」
「もっと濃いーのが欲しいんかよ?」
「やっ、えっ!? それはまだ待ってーっ!!」

 あーちくしょう。可愛いな、ホント。名残惜しいが、二つ目のストッパーを外すのは今後の為に止めておこう。


(あー沖田くん? 神楽のメール攻撃、食らわされたんだって?)
(まあ、はい。何つーか、可愛いですよね)
(えぇっ!? 総一郎くん、Mに目覚めちゃったの?)
(何言ってんですかィ……)
(あんなどうでもいいメールばっか食らわされて可愛いって、ドS発言じゃねーじゃん!)
(何ていうか……愛感じるんですよね)
(うーわー。訊いた俺がバカだったー!!)



*意外とマメなお嬢さん*




※オマケ


「総悟……お前、いつから携帯依存症になったんだ?」
「はァ?」
「さっきから何回メール打ってんだよ」
「やだなァ、土方さん。彼女いないからって僻むなんざ、みっともないですぜ?」
「誰が僻んでるだと!? これだからリア充は……」
「意外にチャイナの奴、こういうのマメなんでさァ。短くても返信してやるとメッチャ喜ぶのが可愛くてついつい……」
「もういい。勝手にやってろ。頬染めてる男見ても面白くもなんともねぇ!」
「嫌がることを率先して実行すんのがドSなんですけどねィ。……この機会なんで、たっぷりノロケ話でも聴いてもらいやしょうか? 軽く1時間はかかると思うんで覚悟して下せェ」
「ちょっ……何してんだ、総悟!? 何で手錠掛けてんの!?」
「何で、って逃げらんねェように?」
「えぇーっ!? そこまですんの!?」




約1年前にblogに投稿して放置していた、40巻のメール話からの妄想小咄でした!

そういや〜格納すんの忘れてたなぁ、と思い出しまして(笑)
ほとんど投稿時のままですが、オマケで副長をいじり倒してみましたΨ(`∀´#)
受難だね…余計なこと言ったばかりに(笑)

'11/07/11 up * '12/07/13 reprint

>>top

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -