*'11 X'mas fes！*

──あぁ、心臓が飛び出しそうです


　沖田に抱きしめられたという現実がまだ信じられなくて。フリーズ状態から抜け出すことが出来ない私に、追い打ちをかけるかのように、沖田は耳元や首筋にキスを落としてきた。

「んっ……！　お、きた!?」
「あ？　何でィ？」
「何、って、あっ……！」

　ふぅっ、と耳元に息を吹きかけられて。みるみるうちに頬は赤くなり、体温が急上昇する。

「あの時、チャイナが言いかけたのって、もう時効？」
「えっ、時効!?　言いかけたのって……」
「俺のこと、避けてただろ。遊園地の後しばらく」

　抱きしめられた状態から一度解放されるも、沖田の手は私の腕を離さずに掴んだままだ。

「大体、てめーは銀八が好きなんじゃなかったのかよ？」
「……はぁっ!?　銀ちゃんは先生ネ！　何でそんなっ」
「てめーは口開けば、銀ちゃん銀ちゃん言って、抱きついたりなんかもしてたじゃねーか」
「だって、それはっ。銀ちゃんのことは男のヒトとしてってゆーんじゃなくて、先生として慕ってるってゆーか！」

　あれ、何でこんな言い訳してるんだ、私？　ってか、勘違いにも程があるっていうか。そもそも今のこの状況に着いていけてなくて。

「──あん時、まさかチャイナが、俺のこと特別とか何とか言い出すなんて思いもしなかったからなァ。聞き間違いかと思ったぐれェだ」
「聞き間違いーっ!?」
「まあ、俺も雰囲気に流されてチャイナにキスしそうだったし。お前も流されただけだと思ってもおかしくねェと思うけど？」

　──やっぱり、あの時キスしようとしてたのか！　しかも、雰囲気に流され、って。気持ちはなかったってこと？

「サイテー」
「……はァ？」
「オマエは好きでもない相手に雰囲気だけでチュー出来るのかヨ!?」

　キッ、と睨みつけてやるも。当の沖田は何を言ってんだ、と言わんばかりにこっちを見下ろしている。

「あのなァ。……この話の流れで何でそうなるんでィ。てめーは何処まで頭が足りねェんだよ？」
「なっ！　だ、だって！」
「もういいから黙ってろ」

　もう一度、グイッと引き寄せられたかと思うと。

　口唇に生暖かい感触が、リアルに伝わって。目を閉じることも出来ずに、頭を真っ白にしてしまう。

「好きだ」

　離された口唇から紡ぎ出された言葉は、私の心臓をぶち抜くには十分の攻撃力を持っていた。

「銀八を好きだってんじゃねェなら、俺、自惚れていい訳？」
「沖田……」

　抱きしめられました。更に、チューされました。トドメに好きだと言われました──。
　これ以上、何も疑いようがない、沖田からの告白だというのに。どうにも信じられないのだ。

「片想いだって、ずっと思ってたアル」
「あー、まあ、それはしょうがねェな。実際、俺が自覚したの、最近だし」
「はぁっ!?」
「最初はモヤモヤしてただけで。銀八やら店長に妬いてる自分に気づいたから、かもなァ」

　目を白黒させる私を宥めるように、ポンポンと頭を軽く叩かれる。妬いて……って、店長にまで!?

「だから、観覧車でキスしたくなった気持ちが、何だったのかも、やっと分かったんでさァ」
「あっ……」
「雰囲気に流された、って言ったが。それは、俺がチャイナのことを好きだという気持ちがあったからこそ出てきた、無意識の行動だったと思う」

　沖田の暖かい両手が、頬にそっと当てられる。そして、コツリと額が合わさって至近距離に沖田の吐息が感じられて──。

「あのさ。観覧車の続き、聞かせてくんない？」

　トクントクン、高鳴る胸の鼓動。ああ、こんな日が来るだなんて、今の今まで想像すら出来なかったというのに。

「沖田の、」
「……うん」
「特別に、なりたい」

　声が震える。それでも、真っ直ぐに、目を逸らさずに、今度こそ伝えなくちゃいけない。

「私、沖田のことが──」

長々とお疲れさまでしたー！

タイトルの英語は私の好きな某アーティストのクリスマスソングの歌詞から(みすちるではないよ！)
『例えば一人の夜でも 君のこと想ってる人は必ずいるから』この２番のサビが大好きです。…話に全く関係ないっすね、ゴメンナサイ(´д｀)

さてさて。この後の展開は、皆さまの想像にお任せ、って丸投げしちゃったんですが(笑)ちょっとアレだな〜(？)と。更に拍手下さった方へのプレゼント代わりに、会話文を投下しました。
読んでなかった方もいたと思うんで、最後に載っけておきますね(･∀･)

'11/12/25 up * '12/01/21 reprint

「大好き」
「もっと」
「好き好き神楽ちゃん」
「愛がこもってないアル！」
「……愛してる」
「合格」
「はァ。何なの、この羞恥プレイ。俺、Ｍじゃねェんだけど？」
「うるさいネ、ドＳ。私からも言ってやろうかと思ったけど止めた方がいいアルか？」
「嘘。ゴメンナサイ。止めないで下さい、神楽さん」
「しょうがないアルナ〜」
「──コイツ、俺よりＳなんじゃね？」
「……好き。大好き、ヨ。そーご？」
「………………やべ。マジで嬉しい」