「すげー降ってきたなァ」
「台風近づいてきてるって、結野アナが言ってたネ」
「げっ。……んじゃあ、本降りになる前に帰るか?」
「もう既にザバザバ降ってんじゃねーかヨ」
「だよなー。これじゃ、傘も役に立ちそうにねェ」
「そんな生っちょろい傘じゃ無理ネ! 私の傘ならビクともしないアル〜」
「そりゃァ、夜兎の鉄傘なら当たりめーだろうよ」
「ふふ〜ん!」
「──そういや、前にコレじゃねェ傘差してなかったか?」
「ん? コレじゃないって……ああ。懐かしいアルナ〜」
「やっぱそうだったか。あん時、チャイナっぽい奴だなァとは思ったんだが傘がちげーし。まだドンパチやり合ってた頃だったし、声掛ける気もなかったなー、そういや」
「今もドンパチは日常茶飯事アル」
「……おめー、難しい日本語さらっと言ってんなァ。前々から思っちゃいたが、実はその似非中国語、キャラ作りなんじゃね?」
「さあナー?」
「コイツ……」
「あっ! 見てヨ、そーご! この傘カワイイ〜」
「話逸らしやがったな、オイ。──あー? 何だよ、ふつーの花柄じゃね?」
「全くオマエは乙女心の分かんないヤツアルナ。これだから、マダオなのヨ」
「あァ? 何だよ。たまに買ってやろうかとか人が思ってれば……」
「ドSのクセに珍しいことしようとするから雨が降ったネ」
「何だと〜? って、お前こそ珍しいな。いつもなら何か買ってやるっつったら、飛びつくじゃねーか」
「……傘は、コレでいいネ」
「ふぅん?」
「何でか訊かないアルか?」
「どーせ、旦那絡みなんだろ」
「アリャリャ。まだ銀ちゃんに妬いてるアルか」
「るせー」
「コレに関しては、銀ちゃんだけじゃないネ。新八もアル」
「何だよ。俺ァ、メガネくんにまで嫉妬してなきゃならねーんかィ」
「ぷぷ。そーご、カワイイ〜」
「クッソー。言い返せねェ」
「万事屋は、家族アル。総悟は……恋人、デショ?」
「っ! おまっ……ソレ反則だから」