*clap_log*



※3Z/not会話文/VD&WD連作/総悟視点


 醜い嫉妬なんざしてる間に、気づけば残り少ない高校生活も自由登校期間に突入し。不毛な片想いを続けている相手──チャイナこと神楽とは、全くと言っていい程会えなくなってしまった。

 周りの連中には、悪いのは俺の方だと散々言われたのだが。いくらチャイナの奴が本当は俺のことを好きなんだと、周りに言われたからと言って。当のチャイナ本人にコクられた訳でもなければ、好かれていると自惚れることも出来ない。
 どうしたって、あいつが好意を持ってると真っ先に言える相手といえば、担任でもある銀八以外にいないと思うのだ。そう思っていた上に、たまたまバレンタインの当日、チャイナが銀八に馬鹿デカイチョコ……しかもハート形のを渡して食っている場面に遭遇した俺の身にもなってみやがれ。
 打たれ弱いS、で通っている俺のガラスの剣は木っ端微塵に砕け散ってしまった。嫉妬心が限界まで膨れ上がった俺は、メチャクチャな暴言をチャイナに吐き出し──あれ以来、合わせる顔なんてある訳もない。もちろん、チャイナだって会わなくて清々してるだろうし。
 そうこうしているうちに、あっという間に卒業を迎えてしまった訳で。

「あーあ。そんな落ち込むんだったら、暴言なんざ吐く代わりにコクっときゃよかったものを」
「うるせー、土方。氏ねじゃなくて死ね」
「何だと総悟テメー!!」
「やめろよ、トシ。総悟だって傷ついているんだ。素直になれなくても仕方ないだろう?」

 幼なじみ2人の言葉は、軽く聞き流し。溜め息をつきながら、屋上から校庭を見下ろす。眼下には、生徒も教師も入り乱れて騒ぐ光景が広がっているのが嫌でも目に入ってきて。
 ──笑顔を惜し気もなく振り撒くチャイナを、自然と目で追ってしまう自分が何となく笑えてきた。

「会ってねぇ、とは言っても。電話では喋ったんじゃなかったのかよ? 銀八の奴が何かやらかしたみてーだが」
「あー……そりゃ、こないだの合格発表の日の話ですねィ」

 もう、あの日から何日経ったのやら。今思い出しても、自己嫌悪に陥るばかりだ。

「人の気も知らねェで、誰にでも笑いかけてんじゃねーや……クソチャイナ」
「それを本人に言ってやれよ、このヘタレ王子が」
「…………」
「な、何だよ? 言い返さねぇのも気持ちわりぃんだけど。近藤さん、俺、何か地雷踏んだか!?」

 土方コノヤローの焦る声が何処か遠くに聞こえる。ああ、そうだよな。俺、結局チャイナ本人には何も言えていないじゃないか。ただ八つ当たりみたいなことを繰り返す、小学生のガキみたいだ。

「おっ。やっと覚悟決めたみたいだな、総悟!」
「近藤さん」
「俺たちがチャイナさんの気持ちを総悟に教えても総悟は納得出来なかったろう? チャイナさんも同じだと思うんだ。総悟の口から直接聞かなきゃ、何処にも進めないんだよ。だから、行ってこい──好きだって気持ちを思う存分ぶつけるつもりでな!」

 俺みたいに玉砕しやしないだろうからさ、などと半泣きになっている辺り。近藤さんらしい励まし方だと思うんだが、その辺はフォローの達人の土方が慰めてるようなので……まあ、放っといても大丈夫だろう。

「チャイナ娘の方も、待ってんじゃねーの?」

 土方の指差す方を見ると、デカイ犬の上からこちらを睨み付けるように見上げる──チャイナと目があった、ような気がした。(さすがに遠すぎる)

「ちっ……宣戦布告のつもりかよ、クソチャイナ!! 首洗って待ってやがれ!!」
「そ、総悟ぉーっ!? それ告白しに行くんじゃなくて決闘しに行くみたいなんですけどーっ!?」
「俺らにとっちゃ、どっちも変わりゃしないかもしれやせんぜ」
「総悟ーっ!?」


 ──階段を駆け降りる足は、速く。もどかしく感じながら、踊り場をターンし。10段単位で飛び降りながら、地上へ……チャイナの元へ。

「クソサドーっっ!!」
「何でィ、クソチャイナ!!」

 お互いに息を切らし。

 至近距離まで、詰め寄って────。

「「大好きだ、コノヤロー!!!!」」



* not sweet, more bitter *





バレンタイン神楽視点をupした後、半年音信不通をやらかしたダメ人間ですコンバンハ。
しかも、待たせた割に締まりがない終わりですよね。すんません。
あとがきで書いたんですが、これ打ち込んでた時、ずっと頭の中が『サヨナラの空』状態でした。ビジュアルは、あのEDをご想像下され〜。

オマケもありましたので、そのまま↓に載せまーす。

'13/09/22 up * '14/01/11 reprint



※オマケ/銀ちゃんと近藤さんと土方さん

「良かったなぁ〜総悟」
「あーあ。鼻水拭けよ、近藤さん」
「だってなぁ、トシ。俺、自分のことのように嬉しいんだよ!」
「分かったから。鼻水ターザンになってっから! 頼むから拭いてくれ!!(汚ねぇ)」
「──おっ? こっちも保護者つきかよ。ホント、あいつらは世話が焼けるよね〜」
「銀八!」
「全くさぁ〜君たちが沖田くんのこと、もっとしっかり焚き付けてくれてりゃあ、早くまとまってたかもしんないのに」
「何言ってやがんだ!! てめーが話を一番ややこしくしてたんじゃねぇかよ!」
「イヤイヤ。俺は被害者なんですけど。むしろ挟まれて逆恨みされて散々だったんだからね!?」
「だったら、てめーがあのチャイナ娘をまともな方に導くのが先だっただろうが。このインチキ教師」
「うわ、ヒデーよ目付き悪い上に口も悪いよ」
「んだと、コノヤロー!」
「……やめろ、トシ。もういいじゃないか。見ろよ、あの総悟の表情。スゲー幸せそうだぞ? ああやって笑顔でいる総悟見んの、久しぶりな気がするなぁ」
「近藤さん……」
「神楽も幸せそうだなー。あいつ、いつも笑ってるように見えたけど、やっぱ無理してたんだな。今の笑顔は沖田くんしか引き出せないんだろーなぁ……うわぁ、俺、何か嫁に出す父親の気分」
「銀八もチャイナさんのこと心配してたんだな。いやー、これで俺たちも肩の荷が下りるってもんじゃないか」
「いや、近藤さん。それは甘い。……あいつらの場合、まとまってからの方がある意味心配だ」
「あ〜そりゃそうだなぁ。ケンカしない訳ないし?」
「──史上最強の痴話喧嘩おっ始めそうだな」
「ハッハッハ! それも2人らしくていいんじゃないか?」
「近藤さんは平和でいいよな……」
「仕方ないよ。ゴリラだから」
「えぇっ!? ゴリラ知能高いでしょ!? ってか、俺がゴリラなの前提ーっ!?」
「「うん。」」


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