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※白石がなんか性格悪いし言葉も悪いです。というかアホみたいな感じです。そしてなんかヤンデレっぽい?




そうや、浮気した俺が完全に完璧に全部悪いんや。
相手の子は草花が好きで毒草が好きな俺とは、ぶっちゃけ名前以上に話しが合った。
その子とはただの友達やったんやんやけど、ひょんなことから体だけの関係を持つようになってもうた。
別に名前に不満があったわけやない。
いい彼女や。まあ見た目は普通の子やけど俺を一途に想っていてくれて部活が忙しいのも理解してくれとる、優しいやつや。
名前には俺から惚れたしな。
まあ、名前は消極的なとこがあるけど、俺はどっちかというと引っ張っていきたいタイプやし世話焼くのも好きなほうやから性格の相性はよかった。
せやから名前への愛が冷めたわけでは絶対ない。
ひどい話しかもしれんが、もし名前と浮気した子が海に溺れとったら、俺は迷うことなく名前を助ける自信がある。
本命の名前と体だけの子とは格が違うというわけや。
名前を誰よりも愛しとる。
……ん、やけど、それだけで終わることができるわけない。
一番愛しとる気持ちに嘘はないけど浮気もする、なんて許されるわけがない。
バレなきゃいいって?
………もうバレたわ!!


「……」

「……」

「……」


どうやら俺が浮気しとった子が名前に「あんた蔵に遊ばれとるでー?本命はウチやからな!」とか俺とのチュープリを見せびらかしつつ言ったらしい。
…お前が遊びじゃ!ちゅーか自分でそれで割り切ろう言うてたやないか!余計なことしよってボケ!
まあ…とにかくそんな最悪なバレ方をしてしまった俺は、現在俺の部屋で俯いていて表情が伺えない名前と、……なぜか俺の部屋にいる気まずそうな顔した謙也と、重たい空気の中にいます。
そんななか、俯いたままだがついに名前が口を開いた。


「飽きたのなら…言ってくれればよかったのに…」

「いや、」

「嫌いになったのなら…別れたかったのなら…言ってくれたらよかったのに…」

「ちがっ!」


「ごめんね、無理、しなくていいよ。別れよう」


嫌や。名前と別れる?嫌嫌嫌嫌や。嫌ですからね!!名前と離れるくらいなら俺死にます!!
自業自得?俺が原因?…わかっとるわ。
でも別れるのは絶対に嫌や…。


「もう、関わらないでいいから、」

「っいやや!!」


そう言って部屋を出ていこうとした名前の腕を掴んで引き止めたら、名前が一瞬体をびくつかせてから、すぐに俺の腕を振りほどいた。
…正直、名前がそんな乱暴に振りほどくことなんてなかったから、俺は驚きを隠しきれなかった。


「他の人に触れた手で私に触らないで!!」

「っ」

「なんなの嫌だって!浮気したくせに!別れたいんじゃないの?意味わかんない!」

「でも俺はほんまに名前だけを愛して、」

「…ふぅん…」


る、と言おうとしたが、名前の雰囲気がいきなり変わったため言葉が詰まった。


「じゃあ白石くんは…好きでもない人と浮気できちゃうんだ…手を繋ぐのも、抱きしめるのも、キスも、それ以上も……」

「……」


その言葉は容赦なく俺の心に突き刺さる。
せやけど正論だったので言い返すことはもちろんできない。
そんな黙りこんでしまった俺をさらに責め立てるように、名前のチクチクとした言葉は止まらなかった。


「私…一途な人が好き、なの…。軽い人なんか大嫌いだよ…。信じてたのに…。……謙也くん!!」

「は、はい!?」


大嫌い、そんな言葉が俺にトドメを刺した。
だがこの後、さらにこれ以上の地獄が俺を待ち受けていた。
名前はなぜか俺のベッドに座っていた謙也に近付いて行った。
――言い様がないほどの嫌な予感がした。
俺は今すぐ名前を俺のほうに引き寄せなアカン気がして、本能的に名前を抱き寄せようとした。
…が、俺は遅かったようだ。


「んんん!?」

「んー…っ!」


名前が謙也の膝に跨がって、片手は謙也の指と絡ませ、もう片手は謙也の背中に回し、そして…、消極的な名前からは信じられないが、名前から謙也にキスをした。
俺はその光景を目の前で見て、一気に体が動かなくなった。
怒りのせいなのか悲しみのせいなのか、頭がクラクラする。
そして先程とは比べられないほどの胸の痛みが俺を締め詰めた。
やめろや俺以外に触んなキスなんか以っての外や…!!
俺は嫉妬で気が狂いそうやった。
…ああ、名前もこんな想いずっとしてたんかな。こんな辛い想いをずっとさせてたんかな。
そう思った瞬間、今までよりも更に強い罪悪感を感じた。けれど今はそんなことを噛み締めている場合ではない。
俺はようやく動くようになった体で名前と謙也を思いっ切り引きはがし、名前を抱き寄せた。
(「う、うわあああ!」と顔真っ赤にしながら俺の部屋を出て行った謙也は、とにかく放っておく)


「ふざっけんなや…!なんで謙也にキスなんかすんねん!」

「うるさい!白石くんなんかそれ以上のことを何回も他の人とやった癖に!!」

「せやけど……っ、」


俺は名前を抱きしめる腕に更に力を込め、名前の肩に顔を埋めた。


「いやや…ほんまごめん…っ、もう、絶対せえへんからっ」

「…、」

「別れるなんて言わんといて…っ」


情けないことに涙が滲んできた。
体は名前を失ってしまうかもしれんという恐怖から小刻みに震えている。


「名前おらんと俺生きてけんねん…っ」


そう言ったら、名前の細い腕が静かに俺の背中に回ってきた。


「なんで浮気なんかしたの、」

「…魔が、さして…、でも、もうちゃんと切ったから…っ」

「……反省してる?もう浮気したりしない?」

「勿論や!もう絶対せん!」

「次浮気したら絶対に別れるよ?」

「お、おん!」


名前は短くため息をついた。


「じゃあ、今回は許してあげる」

「!! 名前っ愛しとる!!」


多分俺はもう浮気はせんと思う。
いや、絶対せん。
もう一度、名前を失ってまうかもしれんというあの恐怖を味わうのはほんまにごめんや。
もう絶対間違わんからな…。


「あっ…でもまだ完璧に許したわけじゃないし、信用したわけじゃないから暫く私に触るの禁止ね!」

「はっ!?」


ちゅーもアカンか…!?






――俺の唇が奪われてしまった後日、名前ちゃんは俺に謝りにきた。…白石付きで。


「謙也くん、あの、ご、ごめんね、このあいだ…」

「あ、ああ、えと、おん、気にせんでええよ!」

「嫌だったよね…あの、もし、あれだったら…責任とか、」

「ええ!?」

「あかーん!絶対アカン!俺が許さん!ちゅーか名前には俺がおるやろ!浮気や!」

「お前が言うなや白石…」

「う…」

「謙也くん、白石くんのことでずっと私を慰めてくれてたんだよ。…なんで私謙也くんを好きにならなかったんだろ…」

「ななななっなにいうとるん!?」

「アカン…!嫌や名前っ…捨てんといてっ…」

「ちょっ、う、嘘だよ!泣きそうにならないでっ」


…なんちゅーか、白石の依存度?みたいなのめっちゃ上がっとらん?
ちなみにあの日から白石は必要最低限しか女子に関わらんようになった。
前は逆ナンしてくる子だけ苦手やったようやけど、なぜか今は名前ちゃん以外の女の子に苦手意識を持っとる。
…相当名前ちゃんに別れよう言われたことがトラウマになっとるようやな。
名前ちゃんに涙目になりながらべったり引っ付いている白石を見て俺は思わず苦笑いをした。
なにはともあれ、仲直りできて良かったな。


「名前ーめっちゃ好きやー名前名前名前名前名前名前ー」

「う、うるさいよ白石くん…」

「名前ーっ!!」


…うん、よ、良かったと、思うで…。




―――
色々すみませんでした…。


ふらついた愛
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