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朝から様子がおかしいとは思ってた。
「次元っ!?」
だけどここまでひでぇことになってるなんて思いもしなかったよ。







突然倒れた次元を、俺が抱き抱えてベットまで連れてきた。悪い、とがさがさの声で言う男に、俺は喋るなと返す。白い枕の上に頭を置くと、次元の顔の赤みがさらにはっきりと見て取れて、なんでここまで気づけなかったんだと自分を憎んだ。
「…ル…パン」
「なんだ?なんか食いてぇもんでもあるのか?」
自分でも驚くほどに優しい声がでる。
「っから…」
「ん?」
次元の口元に俺の耳を寄せた。
「俺…は大丈夫…っだから、お前は…リビングに戻れ…」
呼吸するのもやっとだと言いそうな調子で俺にそう言った。…こいつは、また。
「なんで。」
「いい、から、はやくでてけ…」
「やだね。」
言いきってやった。
「どーせ俺に風邪がうつっちまうから、とかそういう理由でしょ?嫌に決まってるじゃない。そんなぐったりしてる次元の傍から離れられるもんか」
「っ…」
次元はばれたって顔をする。ったくこいつは、いつになったら俺に見透かされてることに気づくのかね。
「ちが…」
「嘘つき。ほら体温計。」
ぐい、それを突き出すと、次元は瞳を半分伏せながらも体温計をくわえた。あきらめちゃったのか、やけに素直だ。熱にうかされてぐらぐらに溶けた瞳はいつも3倍くらいやらしくて、赤く染まった熱い頬は…って馬鹿馬鹿、今はそんなときじゃない。ピピッ、と高い音でお仕事完了の知らせをする体温計の液晶には"38.5"の文字。
「うわちゃ」
平熱の低い次元にとっては大事件だ。ったく、追われる身ってのはこういうときには嫌なもんだよな。まともな医者は呼べねぇんだから。はぁはぁと荒い呼吸を繰り返す次元。とりあえず体ふきふきしましょうね、なんて言って、次元のボルサリーノを外す。潤んだ瞳と視線がかちあう。そういや最近ちゅーもご無沙汰だったなぁとか、あーもうごめんなさい。次元の負担にならないようにゆっくり優しくネクタイを引き抜く。
「っは…ん…すまねぇ…」
あーもうこいつは、こっちの気も知らないで!無抵抗でおとなしくて体は熱くて。ったくこっちは別の病気にかかりそうですよ全く。一旦自分を落ち着かせるために、もといパジャマを取り出すためにタンスまで歩いた。あーあー落ち着けルパン。俺は天下の大泥棒。あいつは病人だ。病人に手ぇだしたらルパン一家の恥だぞ!
「ほらパジャマ。スーツのままじゃつらいだろ」
「悪い…」
上半身を持ち上げて、次元はもたもたとシャツのボタンを外し始める。それより先にジャケット脱ぐべきじゃないの?
「…脱がしてほしい?」
「は…?」
って、わー待て待て待て俺、何言ってんの。
「な、なんちゃって!俺が脱がしてやるから、大人しくしてなさいってことよ!」
「あぁ…ありがてぇ…」
それはいつもああいうときに俺が言うセリフで、俺は次元に無理矢理"脱がして"って言わすのが好きだから半分口癖?みたいな?次元がぼーっとしててよかったよ…いつもなら今頃俺のこめかみにはマグナムがキスしてるぜ。
「次元、辛かったら言えよ」
「大…丈夫だから…さっさとすませてくれ」
「あっうん」
ジャケットを脱がして、イスの背もたれにかけた。ボタンをゆっくり外していく。汗で体に張り付く水色のシャツ。次元の呼吸に合わせて薄い胸板が上下する。ごくり、と喉を鳴らしてしまった。
「ッゴホ、ゴホゴホッ」
「大丈夫か次元っ!?」
「ごほ…っいじょ…大丈夫…っだから…」
あんなに激しく咳込んでも尚俺に心配かけたくないのか。
「汗…ふくぞ」
「ん…」
柔らかいタオルを滑らせて、汗を拭い取る。薄い次元の胸や腰が俺にはたまらなく毒だった。呼吸が直に伝わって、どうしようもなく頭が掻き乱される。
「ルパン…」
「っ」
「悪い、ありがとうな」
あぁもうそんな顔すんなよ俺が悪者みたいじゃないか
「いいんだよ。頼って当然だ、相棒なんだからさ」
そうだ、相棒。相棒相棒。こいつは相棒。今の次元は恋人じゃなくて相棒なんだ。「っルパン…」
「なに?」
「っその…下、も」
「………え?」
「下も脱がしてくんねぇと…着替えらんねぇ…」
こっの無自覚淫乱がぁあぁああ












「つっ…かれた…」
次元の全身をふいて、着替えさせて。ようやく次元は寝付いた。心なしかさっきより楽そうだ。
「まぁ…一件落着だな」
ふ、と思わず破顔する。さ、お粥でも作ってあげましょうかね、と次元の傍を離れようとすると

「…ルパン」

「へ?」
寝言で俺を呼ぶ次元は、しっかと俺のジャケットを掴んでいた。行くな、とでもいうように。

「ルパ…ン…っ」
「っ…!!」

どこまで俺を惑わせば気が済むんですか次元さん





それは恋の病です
(放置プレイとか勘弁して)







END












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