テラ 2




※来神シズイザ続き
※アイスネタ
※初々しく甘い感じ





夏休みが始まっても、俺は学校に行かねばならなかった。一教科だけ、どうしてもクリアできずに補習を受けることになったからだ。
補習の必要がない臨也はなぜか学校に現れ、補習が終わるのを待っていた。
何の用だ、と問えば、シズちゃんとアイス食べたくなって、というよく意味がわからない返答が返ってきて今に致るわけだが。
隣を上機嫌に歩く臨也が俺が補習を受けることになったそもそもの原因なわけだが、今やそんなことはどうでもよくなっていた。
(エロい…)
どうしても邪な気持ちになってしまうのは、全部臨也のせいだと思う。
この前花火をしたときだってそうだ。浴衣の隙間からチラチラと見える素肌に何度かぶりつきたいと思ったか知れない。
すべて臨也が狙ってやっているのだとしても、このまま罠にかかってやってもいいとさえ思ってしまう。
隣を歩く臨也から視線を外し、手にしていたアイスを苛立ち紛れにかじる。
シャリ、と小気味よい音をたてて口の中に溶けていくアイスはソーダ味。頭上に広がる青空よりも少しだけ薄い、清々しい色。俺の脳内とは正反対だ。
「しうちゃ…?」
「あ?」
舌足らずな呼び声に仕方なく振り向けば、相変わらず臨也はアイスをくわえていて。
「……」
俺とは違い、棒状のアイスをムグムグと上下に揺らしてあどけなく笑う。やっぱり誘っていやがるのだろうか。
しかし臨也はそんな俺の気も知らず、ようやくまともに話す気になったのか、アイスを口元から取り出して。
「どうしたの?まずいの、そのアイス」
「いや…」
見当違いの問い掛けに、俺もまたアイスを手にしたまま、後ろめたさを必死に隠す。
冷たいアイスを食べていたせいだろう、臨也の唇がより一層紅く染まっていて。バニラアイスの白がアクセント代わりにさりげなさを装い彩っているのが逆に卑猥で。
(何考えてんだ、俺…!)
心の中で冷静に突っ込む自分自身と、臨也の唇に釘づけになっている自分自身がいて。思わず舌打ちしてしまったのだけれど。
「どれどれ」
歩を止めた臨也は、ひょい、と覗き込むようにして俺のソーダアイスに顔を近づけ、そのままかじりついてしまう。
「…っ」
シャク、シャクと二口かじった臨也は、口の中のソーダ味を吟味して。
「んー…、特別まずくはないけどなあ…」
まずいなんて言ってねぇよ、手前自体がマズイんだよ、とは言えるはずもない俺は今日もまたため息を零すしかなくて。
「…マジでムカつく」
「ちょ、意味わかんないんだけど…!?」
八つ当たりしている自覚はあるから、臨也が怒るのも当然なわけで。
何やらグチグチと厭味を並べる臨也だったけれど、手にしたアイスが溶けてきていたから。
「おい、垂れてんぞ」
「うわ、もったいないや!」
そうして慌てて手首にまで滴るアイスを舌先で舐めとるものだから。
(襲うぞ、コラ)
目のやり場に困った俺が後悔したところで後の祭り、というわけで。
マジでヤバイかも、と呟いた俺のアイスもまた溶けていたのは言うまでもない。





END






来神シズイザです。
夏は終わりかけですが、二人の夏休みはエンドレス。

2011.8.31 up



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