ズちゃんが〜 サンプル




※万里担当の小説部分のサンプルです
 


「ここから何か匂いが出てるんだろ?すげえな」
「そんなわけないから!」
「いや、俺の鼻は誤魔化せねえぜ?……何の匂いだ、コレ」
「あ、……やっ」
先端を指先で摘み、引っ張ったり捻ったりされる。少し痛いくらいの刺激に、俺は身悶え、悲鳴を上げた。
「ん、コレは…」
ピンと立ち上がった乳首を見下ろし、シズちゃんがようやく得心がいったとばかりに目を見開く。
「イチゴだ」
「……はあ?」
「手前の乳首は、イチゴの匂いがする…!」
俺に覆いかぶさりながら、堂々と胸を張って宣言する男に、俺は絶句して。
ひとは、余りにありえない状況に直面すると、喜怒哀楽よりも先に固まるものだ。例に洩れず、俺はたっぷり数秒間は言葉が出せずにシズちゃんのドヤ顔を眺めるはめになり。
「頭おかしいの!?」
ようやく思考が正常の働きを取り戻した途端、思い切り叫んだ。
当然だろう。
しかし、当のシズちゃんは、心外だとばかりに顔を顰めている。
「俺の言ってることのほうがおかしいなんて反応をしないでくれる?おかしいのは君のほうだから!!」
渾身の力でシズちゃんを押しのけ、ちょっと座れ、と命令すれば、渋面のままのシズちゃんは大人しく従ってくれた。
「馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけど、ここまでとは思わなかったよ。イチゴ?どこからそんな匂いがするっていうの?食べたいっていうだけなんじゃないの?」
「……する」
「しないって言ってんだろ!!……君の嗅覚は狂ってる、異常だ。勝手な妄想を押し付けて、そんなの、」
女に言えよ、と勢いのままに言ってしまいそうになり、これでは元の木阿弥だと歯軋りする。
「……あのねぇ」
はあ、と怒鳴りつけた勢いを殺すために、ため息を吐き出す。それでも、再び蘇った不信感は完全に払拭できなくて。
「やっぱり、女がいいんじゃないか。女に言えよ」
すると、黙って俺の叱責を受けていたシズちゃんは、懲りずに俺に向かって言い放ってきた。
「興奮してまた匂い濃くなってんぞ」
「なるわけないだろ、バカァ!」
コートからナイフを取り出し、「俺の話聞いてたの!?」と腹立たしさのままに真横に薙ぎ払う。
「……ってぇな」
「早く死んで…!」
切っ先が掠めたシズちゃんの頬からは血が滴っている。シズちゃんは、憮然としながら手の甲で傷口を拭い、シーツに擦りつけた。
全く反省の色が見えないどころか、「手前が悪い」なんて呟かれては限界だった。
「……帰る」
乱されたインナーを慌てて直し、ベッドから立ち上がろうと腰を浮かせれば、シズちゃんに腕を引かれてつんのめった。
「帰すわけねえだろうが」
「……うわっ」
再びベッドへと縫い付けられ、「どれくらい触れてないと思ってる」と一転して真顔で言われ、息を呑んだ。
慌ててナイフで応戦しようとしたところで、叩き落されてしまう。
「誘ったのは手前だろ。責任とれよ」
ナイフが硬質な音をたてながらフローリングの床を滑る。偉そうな態度を崩さないシズちゃんは、引き倒した俺のインナーを黙々と捲り上げていく。
「生意気にイチゴの匂いがするフェロモン出すとか…誘いやがって」
マジふざけんな、と唸られても、俺にとっては言いがかりでしかない。
「フェロモン…!?何言ってんの?」
「いいから嗅がせろよ」
「ちょ、嫌だって言ってるだろ!」
しかし、俺の意思とは裏腹に、シズちゃんに中途半端に弄られた乳首は外気に晒されてすっかり立ち上がってしまっていた。
なんとか逃れようと藻掻くのに、シズちゃんは顔を寄せてきて、生暖かい舌先でそこを舐め取ってくる。
「う……あ!?」
ヒクリ、と全身が痙攣する。背中が浮いてしまい、結果的にシズちゃんのほうへと胸元を突き出してしまって。
「しっかり感じてんじゃねえか」
「あ、……あっ」
嬉々として舌先を絡めさせ、もう片方は指で弄られる。擽ったさと、ジンとした傷みが同時に襲いかかられるという、未知に近い感覚に声を殺しきれない。
「舐め続けたらイチゴの味がすんのか」
「そんなわけ……、あ、うあっ」
グイグイと先端を引っ張られ、多分、もっと匂いを出せと言いたいのだろう。本気でシズちゃんの頭を心配してしまうが、だんだんとそれどころではなくなってしまう。
「あ、やだ、なんで、そこばっかり……っ」
小さな突起物でしかないそれを、根元から丹念に舌先でなぞり、グリグリと押し潰すようにして舐め取られる。
舌先の圧力などしれているのに、押し潰されるのではないかという一種の恐怖にも似た感覚が、不思議と快感へと変化していく。
「や、ああっ、ひ……っ」
いっそのこと両方とも一度に押し潰してほしいと思っていたら、もう片方は指の腹で押し潰してきた。
何度押し潰されても立ち上がろうとするそこは、シズちゃんの頭の中同様におかしくなってしまっているのかもしれない。
「は、あ、っ、あっ」
唾液でベトベトになったそこをまた嗅がれて、存在しないはずの味も匂いも堪能されているかのようだ。
シズちゃんは、性懲りもなく「甘いとかマジでどうなってやがる」とか言っていて、これが終わったら速攻殺してやろうと思う。
それでも、熱心に苛められているうちに、すっかり全身が蕩けきってしまい。残されたのは、ウズウズと身悶えたくなるような快感だけ。
「そんなに、弄らないで…」
懇願にも似た声音を洩らせば、シズちゃんはひとつ笑って、口の中に含んでいたそれに歯を立てた。
「……っ、あっ、」
ビクン、と全身を揺らしてしまい、ジワジワとした快楽が背中を伝う。
痛いような、痛くないような、絶妙な加減でもって歯を立てたシズちゃんは、したり顔で俺を見上げてきた。






to be continued……


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