嘘のような恋











今までになかった世界を教えてくれた君に、




俺は必然の如く恋をしてしまったんだ。












嘘のような恋
一般生徒と生徒会副会長













それは突然だった。
普通に学校に登校して、生徒会業務をこなして、生徒会メンバーと過ごすというのが当たり前の日常だった。



――だった、んだ。







「なぁなぁ優司、これめっちゃ美味いぞ!」
「あはは、七瀬くすぐったいよー」
「隼人、無理して話さなくていいから!お前の事ならちゃんと分かってるからな!」
「おーい、鈴もこっちきて話そーぜ!」







―――なんてカオスなんだ!!










この訳わかんないUMAが生徒会室に現れたのは、時期外れの転入生に興味を持った会計である七瀬が此処に連れてきた事が原因だ。
何を思ったのか、俺以外の生徒会役員達は、このUMAの虜になってしまったのか、生徒会業務ほったらかしにしてUMAばかりに現を抜かしている。


UMAのどこに魅力を感じたのか俺にはさっぱり分からないけど、こんな彼等を見た事がない俺にとって、今この場所にいる事が本当に退屈で、居心地が悪い。




「ごめん、体調悪いから今日帰るわ」




ソファに座ってUMAに群がっている奴らには、多分俺の声なんて聞こえてないんだろうな。

そんな事を思いながら、俺は生徒会室を後にした。


















とりあえず生徒会室を後にはしたけど、特にすることなんてない俺は、とりあえず放課後の校舎を歩いていた。


生徒の自主性を重んじている学園方針ゆえに、生徒会業務がすごく大変なので、生徒会役員は特別待遇という事で、授業免除が許されている。
それでも定期テストなどでは、必ずみんな上位の成績をキープしているからというのも、一つの理由だろう。

まぁそんなわけで、あまり校舎内を散策するという機会がないから、こんな時だからこそちょっと探検してみようと思う。







とはいうものの、一応生徒会役員、しかも副会長の自分が一人放課後の校舎を歩いている姿は、一般の生徒たちからどうも目立ってしまっているようだ。
生徒会役員は、成績優秀者の中から、生徒の人気投票で決められるので、副会長をやっている俺は、この学園じゃ結構な人気者という事になる。




――といっても、男子校だから正直人気っていっても嬉しくない。












まぁ、人からどう思われようと、別にどうでもいいんだけど。



それなりに人に話しかけられ、適当にあしらっていたら図書室の前まで来ていた。
無意識に歩いていて暇つぶしできそうな所に辿りつけるなんて、さすが俺。





放課後の図書室にしては人が少ないように思うけど、こちらとしては好都合。
適当に本を選び、本棚で死角になっている席を選び座る。













「あの、そろそろここ閉めなきゃなんすけど」

だいぶ本を読むのに夢中になっていたらしい。人の気配に気付かずに読み続けていたなんて。


「すまない。すぐに出るよ」



支度をして、席を立ち本を返そうと本棚まで行く。
本当は読みかけだったし、面白かったから借りたいけど、部屋を閉めるといっている生徒に無理言って貸し出してもらうのも忍びないので、また時間があいた時にでも読みに来よう。



「・・・、良かったら本借ります?」


俺の後をついて来ていたらしい彼に、急に話しかけられて少し驚きながら、後ろを振り返る。




夕日が部屋に差し込んできていて、一瞬眩しさに目が眩んだけど、僅かに苦笑しながらそう問いかけてきた彼に、俺は目が離せなくなってしまった。



「あのー?」

「えっと、でももう終わったんじゃ」

「平気だって、貸出作業なんてすぐだしな」



スムーズに進む会話に、せっかくだからとお願いする。
ああ、そうか。こんな風に下心無しに誰かと会話するのが久しぶりなんだ。



それに、さっき初めて見た彼の顔が忘れられない。


「あのー、そんな見られるとやりずらいんだけど」
カウンターにつき、作業をする彼を、自分では無意識に見詰めていたらしい。


「―っ、ごめ」
「あ、いや、そうじゃなくて。副会長なんて俺達一般生徒からしたら高嶺の花、だし」


自分が無意識にしていた事を指摘され、顔に熱が集まるのが分かった。
何だ、これ。自分でも自分をコントロールできないような、そんな曖昧な感じ。



そんな時ふと思ったのが、UMAに夢中になっていた彼等の事。
もしかしたら、今の俺の現状は彼等と同じかもしれない。



「別にそんな立派な物なんかじゃないよ。俺も君も、同じだ」


何だか彼には、分かってほしかった。特別だって括られるんじゃなくて、皆と同じなんだって。もっとちゃんと普通なんだ、って。


「悪い、なんか気に障る事俺言っちゃった?」

「否、違くて」
何必死になってんだか、何だか目頭まで熱くなってきた。
恥ずかしい、初対面の相手にこんな醜態晒して。


「俺、斎藤学(サイトウ マナブ)。三宅と同じ3年でクラスはC、図書委員で、部活はサッカー部所属」

「え?」

「急にこんな事失礼かもだけどさ、俺と友達になってくんない?」







ああ、UMA。
お前のおかげで俺は人生初の一目惚れというのを経験できたのかもしれない。


「――三宅鈴(ミヤケ スズ)、生徒会副会長でクラスは3-A。こんな俺でよかったら、友達になって下さい」







嘘のような恋。
(カオスな日常に一つの光)



fin.



当初の考えと書いているとだいぶ違くなる。
もっと相手と絡ませてうふふな感じにする予定が!!


その後は、恋に初心な副会長が、王道や生徒会となんやかんやなりながら、
図書委員の彼と、順調に距離を縮めていって欲しい。


――――――――
「なんか、こうやって鈴といるのも今じゃ普通なんだよなー」

「何、言ってんの?」

「でも、お前好きなやついるんだろ?こんなに俺といたら誤解されない?大丈夫?」

「・・・っ、もういい加減気付け、鈍感!」

「はぁ?俺鈍感じゃないし」



なんて感じに片思いも楽しんでほしい。
クールそうに見えて、実は意外にツンデレみたいな。今までになかった自分の感情に戸惑いながらも、相手が相手だからしょうがない。みたいな。



んで最後は、

―――――

「ずっと、・・・っ好き、だった」

「・・・っ、鈴」

「こんな気持ち、初めてで、どうしていいか、分かんなくて。・・・・お願いだから、離れていかないでっ」


涙が止めどなく流れてくる。
まるで自分の気持が溢れてくるかのように。

学の背中に抱きついたまま、ただただ涙を流す。



「離れる、わけないだろ。俺の方がもう、お前から離れられないんだから」


「好きだよ、鈴。」


「好きだ」



ぎゅっと抱きしめている手に自然と力が入った。
聞きたかった、欲しかった言葉をくれる学を離さないように。






なんて感じに両想いw
そしてそのまま学の部屋へw


今までただただ過ごしていた日常に現れた彼に、副会長の世界が一変してしまった事でしょう。
また、機会があれば、付き合ってからの日常も書きたいですね笑








 
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