晴れた日に











「こんな晴れた日は、君と一緒に」







ほのぼの。
――副会長と書記の話。















一般の生徒達が授業を受けている頃、俺達生徒会役員は今度行われる行事の為の仕事を生徒会室でこなしていた。
それもひと段落ついたと、休憩を挟もうとした所で、バ会長は所用といって、会計はお菓子を求めて生徒会室を後にした。





「あいつら絶対戻ってこないな」

「そうですね。特に会長は今頃お楽しみ中だろうし」

「こんなに真面目に仕事してる俺達がバカみたいじゃないか」



同意を求めるように書記である速見に視線を向ける。
少し困ったような顔で視線だけ返す彼は、残りの二人と違って本当出来た奴だと思う。



「こんなに天気のいい日にこれ以上仕事なんて本当ばかばかしい。」



遣り掛けのデータを保存しPCの電源を切り、椅子の背もたれを支えに伸びをする。





「よし速見、今日の仕事は終わりだ。ちょっと付き合え」
「・・・・、成瀬先輩?」




俺の誘いに戸惑う速見を余所に、彼のPCのデータも保存し電源を切り、早くしろと腕をつかみ生徒会室を後にする。

















「ああ、やっぱり天気がいいと気持ちいいな」


校舎奥の林を抜けた所にある俺専用の秘密の場所。
一本の大きな木の周りに敷き詰められた芝と自然に生えた花々。

人工的に創られたであろうこの場所は、一般の生徒の立ち入り禁止区域。だから此処を知っている者はもともと数が少ない。
その上この学園は温室育ちのお坊ちゃま達が多く在籍していることから、こういう自然だけの場所はあまり好まれていない。まぁそのおかげで俺は此処を独占できるわけだけど。



「こんな所が学園に在ったなんて、知りませんでした。」

「まぁ、そうだろうな」


速見も多分上記で述べた内の一人だろう。
でもきっと彼はこの場所を気にいってくれる。そう思ったから俺は速見を、この秘密の場所に連れてきた。



「こうやってさ、木を影に寝るのが気持ちいいんだよ。仕事で疲れたりすると、ここに休みに来てんだよね」

「だから時々先輩生徒会室から消えるんですね」

「消えるって、何だよそれ。ま、とりあえずここおいで」


苦笑いしながら速見に寝ころんだまま手を伸ばす。
その手を未だ戸惑っている速見は掴むと、俺の横に腰を下ろした。













そのまま何も話さず、ただ一緒にいる。
いつも一人で居る場所に、誰かといるというのは、何だか気恥ずかしいきもするけど、それが速見だからか、いつも以上に心地良かった。

















「成瀬先輩」
「ん?」



未だ握っていた手をぎゅっ、と僅かに力の篭った手で握り返され、どうしたのかと彼を見やる。




「先輩時々いなくなるから、どこ行ったのかって会長達と話した事があって」

「あー、まぁ丁度良い暇つぶしの話題だな」

「それで、会長がセフレのとこでも行ってんじゃないかって」

「まー、あのバカの事だからそういう発想しかないわな」

「俺もやっぱりそうなのかなって思って」

「ああ、うん。全然気にしてないから気にすんなよ」




風によって揺らされる木々の音が心地いいと思うのと反面、どうしてそんな事を今速見が言うのか分からなかった。
別に、セフレどうこう、そんな噂気にしていたらこの学園ではきりがない。でもまぁお人好しの速見の事だから、少しでも疑った事を気に病んでるのかもしれない。




「正直悔しかったんです。先輩が誰と居ようが俺には全然関係ないことだけど、それでも何だか悔しくて」

「・・・・ごめん速見。それってもしかして、嫉妬してくれたって事?」




寝転がっていた体を置き上がらせながら、座っている速見の手をぐいっと自分の方に引っ張った。
それにつられる様に、こちらを見た速見の顔は、捨てられた子犬のような目をしていた。




仕事をしている時に、時々速見から感じていた視線の意味を知って、驚いたのと同時に、嬉しさが込み上げてきた。







「この場所さ、知ってるの、多分俺と速見だけなんだ。
本当はさ、誰にも教えるつもりなかったんだけど、でも、速見にだったらいいかなって。」



「速見とだったら、きっともっと居心地良くなるかなって。」



「なぁ速見、俺の言おうとしてる事、分かってくれた?」








俺の手を強く握ぎっている速見のそれに、俺はそっとキスをする。







「・・・・成瀬先輩」

「ん?」

「また、この場所に連れて来てくれますか?」









「―ああ、もちろん」






また、こんな晴れた日に、





君と一緒に、この秘密の場所へ。








fin.



ほのぼのってどういう感じだろう。



副会長攻めぽいけど言い張ります。
副会長は、絶対ネコがいい!!!


 
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