奇跡ってやつだ(影日影)




ねぇ影山、おれたちが出会ったのって実は凄い確率なんだ。本当に、まさに奇跡。
だって今地球上には60億だが70億だかの人間がいて、男と女がいて、おじいちゃんおばあちゃんとお兄さんお姉さんと赤ちゃんがいて、色んな国があって、色んな人種がいて、色んな大陸があって、色んな居場所があって、色んな街があって、色んな学校があって、色んな部活があって、本当にすごいたくさんの進む道があるんだ。
その中で、地球の日本のこの県のこの街に同じ年に生まれて、同じ高校に入って、同じ部活に入って、同じ居場所を共有して、今こうやって仲良くしてることって、そう考えたらものすごい確率なんだ。
地球に何十億人いる中で、実際に会う人はほんの一握り、その中で親しくなる人もほんの一握り、更にその中で愛し合う人はたった1人。しかもおれたちの場合はたまたま好きになったのがお互い、同性。
すごい確率だよ。奇跡だよ。
こんなに好きになれる人に出会えたことって素敵なことだ。




…………と、俺は目の前にいる日向翔陽のながったらしい話を延々を聞いているわけだが。
わかる。
わかるぞ。
確かに奇跡だ。
ものすごい確率だ。
俺がこんなに人を好きになることですら奇跡だ。
ああ、奇跡だとも。
くやしいけど大好きだ。
ふにゃって笑う笑顔も、試合中の意外に凛々しい顔も、しなやかに筋肉のついた細い身体も、全部、全部。
だが、一つだけ、一つだけ言わせてくれ。



「お前………頭でも打ったか?」






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ひなたんがこんなに饒舌なわけがない



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