ちゅっちゅぺろぺろ(月田/甘)






二人で炬燵に入って、蜜柑を食べながらつまらない正月番組を見ていたら、ふいに、唇を触られた。月島の冷えた指が唇にじんわりと冷たさを伝えた。

「んだよ」
「唇、かさかさ」

下唇を、すーっとなぞられる。唇の皮がひび割れた部分が、少し痛みを感じた。

「……冬だからな」
「リップとか、ないんですか?痛そう」
「お前、そんなのつけるのか?」
「乾燥してたら、まあ」

どことなく恥ずかしそうにそう言う月島の唇を見ると、確かに、潤っている風に見える。

「意外だな」
「乾燥しているよりマシでしょう」

じ、と見つめられる。そんなに俺の唇が気になるか。

「あー…」
「だからなんだってば」
「キスしたい。しても、いいですか?」
「なっに言って…ん…」

唇を、唇で塞がれる。
それはもう長く、向きを変えたりだとか、舌を絡め取られたりだとかされて唇を合わせる。今日はやけにしつこいな、と思ったらぺろりと唇を舐められた。

「っ…はぁ…いて…」
「あ、でもちょっとつやつやっていうか、潤ってて、いい感じじゃないですか?」
「ばか、染みるからやめろ」
「や、もっかい」

可愛く言えばいいってもんじゃねーぞ、と月島に言おうとするが、その言葉はまたもや唇で塞がれる。

「っ、ん…ッ…」

月島とキスをするのは嫌いじゃない。嫌いではない、が、どこで覚えてきたんだと言いたくなるこの超絶テクをどうにかして頂きたい。
舌を吸われたり、甘噛みされたり、歯列を丁寧になぞるように弄ばれたり、上顎をぺろりと舐められたり、キスだけで頭の中真っ白になるくらい気持ちいいし、足腰立たなくなるし、力入らなくなるし、……俺より年下のくせしてこういうことに慣れてる感が、どうも気に入らない。

「は、ぁ……」
「田中さん、かわいい。目がとろーっとしてて、えろい」
「な……」
「涙目だし、もしかして誘ってます?」
「さ、誘ってねぇ!」

はは、と意地悪そうに笑う月島が、何かを思い出したように、あ、そうだ。と制服のポケットをがさごそと漁り出して、何かを取り出した。

「これ、僕のなんですけど、あんま使わないので、あげます」

リップクリーム。
色つきだとか、香りつきだとか、そんなんじゃなくて、きちんとした、薬用のやつだ。

「ほんとに使わないのか?」
「多分」
「でも、なんか悪いし」
「……田中さん、今、付けてみて」
「え」
「ね、早く」

なんでだろ、と不思議に思いながら、リップのキャップを開ける。ほとんど使っていないような感じだが、それでもやっぱりほんの少し使った形跡がみえて、唇をつけるのをちょっとだけ躊躇う。いつもキスしてるのに、なんだかやたら恥ずかしい。

唇に、ゆっくり塗る。
しっとりしてて気持ちいい。

「……ん、塗った、ぞ…っ…?」

顔を上げた瞬間、月島にまたキスされる。
ちゅ、ちゅ、と軽いキスを何度かされて、月島が離れる。

「ほら、こうすれば、僕も、田中さんも唇乾燥しなくて済む」
「……お前はよくこんな恥ずかしいことを…」
「田中さんにしかできません」
「俺もお前としかできませんー」
「あ、ときめいた。キスさせろ」
「このキス魔!!」


















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一生いちゃこらちゅっちゅしてろバカップル
ほんとにタイトル通りの話だと思いますはい

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