喧嘩するほど仲が良い(月田/甘)







月島の髪の毛が好きだ。
ふわふわしていて、柔らかくて、触ると落ち着く。
背の高い月島だから、髪の毛を触るときはいつも、月島が座っているときとか、横になっているときに触る。

俺のベッドに横になって雑誌を読んでいる月島を見る。
ゆるいスウェットを着て、時折あくびなんかして、なんだか、俺の部屋にやけに溶け込んでいる。
自然体なその姿がなんだか無性に愛しく見えて、月島の隣に腰かける。

「つきしまー」
「なんですか、甘えた声出して」
「髪の毛触らして」
「あんま触んないで欲しいんですけど」
「やだ」
「頭撫でられてるみたいで腹立つんでやめてください」

くしゃくしゃ。
睨まれるけど、触る。
やっぱり柔らかくて気持ちいい。

「ふわふわだな」
「天然なんですよ。意外と苦労してます」
「ふーん」
「……まあ、田中さんは髪の毛無いからわからないですかね」
「無いとか言うな殺すぞ」
「冗談です」

軽く小突く。
くつくつと笑う月島。
こいつ絶対、俺のこと先輩だと思ってないな。
もっと、こう、なんというか、敬え!!先輩を!!

「坊主だと楽なんだよ」
「別に僕は、田中さんの頭好きですけどね」
「え……」
「バレーボールみたいで、思い切りはたきたくなります」
「お前やっぱり馬鹿にしてるだろ!」
「むしろ馬鹿にしてないときがないです」
「もう寝る!」

月島をベッドから蹴り落として、布団に潜る。
眠くないけど、寝てやる。寝てやるぞ。

「田中さん」
「…………」
「……田中さん」
「……なんだよ」
「好きですよ」
「そう言えば、機嫌良くなると思ってるだろ」
「バレましたか」
「なんでもお見通しだわ」

布団から顔だけ出す。月島の顔がやたら近い位置にあったので少し驚いてしまう。

「田中さん、怒ってますか」
「後輩にそんなにからかわれたら怒るに決まってる」
「ごめんなさい」
「謝っただけじゃ許さない」
「じゃあどうすれば?」
「キスして」

俺がそう言うと、優しく、触れるだけのキスを何回もされる。唇だけじゃなくて、瞼とか、頬にも。こういうキスをされるのに俺が弱いことをわかっているのだ。

「……これで許してもらえますか」
「………ん」
「田中さん、好きですよ。本当に」
「ばかたれ。そうじゃなきゃキスなんてしないしさせない」
「……田中さん、そうやって色々はっきり言うとこ好きです」
「……うっさい」

布団を被ったまま、月島に抱き着く。
顔が熱い。
布団に熱がこもるからか、もしくは他の理由か。
抱き締め返してくる月島の腕も同じくらい熱いから、そんな理由なんてどうでもよくなる俺だった。















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一生いちゃいちゃしてろ



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