※ぶん殴りたいの(月田/微グロ)







田中さんの顔を思い切り殴る度に、血や涙、色々な液体が飛ぶ、手につく、壁につく、服につく。
僕に散々殴られた田中さんの顔は真っ赤に腫れ上がっていて、まぶたなんて最早ふくれていて、左目なんかはもう見えてないんじゃないか、という風になっていた。

「あッ、ぐ、ぅ…」
「痛いですか、田中さん。痛いですか」
「ッ、も…や、め」
「痛いですか」

こくこく、と急いで頷く田中さん。僕の問いに答えるのが遅れると、一層殴られることを、最近ようやく気づいたらしい。

僕は、こうやって田中さんを全身くまなく殴ることを、1ヶ月に一度くらいのペースで行っている。目立つ傷が完全に治る頃に、また繰り返すのだ。

「田中さん」
「ッ……」
「僕が嫌いですか」
「……嫌い、じゃ、ない…」

殴る。そろそろ拳が痛い。

「ッ、つ…」
「嬉しいです」
「っ、ぅ」
「僕も大好きです」

可愛い可愛い田中さん。明るい笑顔。さっぱりとした性格。本当に、本当に全てが可愛い。
だからこそ、壊したくなってしまう。
田中さんの笑顔が歪むと、堪らなくぞくぞくする。田中さんの苦しい顔を見ると、思わず射精してしまいそうになるくらい興奮する。
好きな人を、傷付けたい。
どうしようもなく、その衝動を抑えきれない。
自分は昔からそんな性癖を持っていたのだ。

「田中さん、お風呂、入りましょうか」
「……も、終わりか…?」
「はい」

田中さんが、しがみついてくる。
いつも大きく見える田中さんが、とても小さく、壊れそうなものみたいに見える。
頬には涙が伝っている。

「痛かったですね、田中さん。ごめんなさい。ごめんなさい」
「ん、平気、だから……」

田中さんにキスをすると、鉄の味がした。
田中さんが、生きてる証拠だ。
田中さんの、味だ。

「っ、ん…ぅ…」
「……田中さん、愛してます」
「俺も、俺もだから」

いなくならないで、と消えそうな声で言われる。
田中さんは、僕のしている行為の本意を、わかってないのだろう。

「いなくなりませんよ、田中さん」
「……ん、…絶対」
「絶対。さ、田中さん。とりあえず怪我の手当てをしましょうか」
「おー…」

田中さんが、僕に殴られたあとは必ず、同級生に会うたびに、その怪我はどうした、だの、誰にやられたのか、だの色々聞かれているのを、僕は知っている。
その都度、田中さんは「なんでもない」「転んだだけ」と必死に言い訳をするのだ。
そんな健気な姿も含めて、僕は田中さんが大好きだ。

田中さんが、僕の愛をわかってくれなくても、たとえ、僕のこの行為が、憎しみから来ている行為だと誤解していても、僕が田中さんを愛している限り、僕は田中さんを傷付けるのをやめないだろう。

そんな、愛なのだ。
それが、愛なのだ。

「田中さん、本気で、僕は、田中さんを愛してます。だから、悲しまないで」
「ッ…月島…つき、しま…」
「泣かないでください、田中さん」

田中さんを強く抱き締める。
濃い血の匂いがした。



















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