41 小牧長久手に、ホウ統さんを助けに来た私達討伐軍。 着いて早々、諸葛亮さんに「皐月、あなたは誰と行動しますか?」と聞かれ、私は思考を巡らせる。そう、だな……。別に誰でも良いんだけどなあ……。今、ここにいるメンバーは、諸葛亮さん、黄忠さん、半蔵さん、魏延さん、月英さん、姜維さん、三蔵さん。合計7名。他にもかぐやや半兵衛さん達が居るのだが、主に動くのは諸葛亮さん達7名なのだ。もし妖が来たら、皆の邪魔をするかもしれない。ちなみに、斑はかぐやと行動。ふむ……、どうしようか。 「私と一緒はどうですか?」 悩んでいると、姜維さんがそう申し出てくれた。有り難いお言葉に、私は唖然しつつも「良いんですか?」聞き返してしまった。姜維さんは、私の言葉を聞きニコッと微笑み「はい」と頷く。 「皐月殿は嫌ですか?」 「いいえ、むしろ嬉しいです。有難う御座います」 軽く頭を下げると、姜維さんが「いいえ」と微笑みながら言ってくれた。やっぱり姜維さん優しい。 「では、決まりですね。策は先程言った通りです。――…行きましょう」 *** 「ホウ統殿は無事救出できました。皆さん、後は存分に暴れてください」 「「「「おう!!」」」」 諸葛亮さんの言葉に、皆イキイキとした表情で散らばる。最近は策を用いることが多く、自由に暴れることは無かった。皆、自由に暴れることができて嬉しいのだろう。さて、私は…―― 「ホウ統さん、体は大丈夫ですか?」 ホウ統さんに声をかける。ホウ統さんは「おや、可愛らしいお嬢さんだ」と嬉しいことを言った後、「この通り、ちょいと疲れてるだけで怪我はないよ」と言った。しかし、隣にいる諸葛亮さんに「先程まで死ぬ直前だったのは誰でした?」とジト目で言われ、「手厳しいねぇ……」と苦笑する。 「お嬢さん、名は?」 「夏野皐月といいます。気軽に皐月、とお呼びください」 「皐月、か。良い名だ。知ってるとは思うが、あっしはホウ統。よろしく頼むよ」 「はい、此方こそよろしくお願いします」 ホウ統さんと話していると、なんだか和む。元就さんみたいな人だ。和んでいると、諸葛亮さんが私に「皐月、疲労は大丈夫ですか?」と聞いて来てくれた。私は「はい、私より姜維さんの方が頑張ってましたし」と返事をする。すると、諸葛亮さんは「そうですか」と穏やかに微笑む。その手は私の頭を撫でている。頭を撫でられることはあまり無い為、少し照れくさい。 「それじゃ、私はそろそろ行きますね」 「ええ。くれぐれも、怪我のないように」 「はいっ!」 手を振ると、諸葛亮さんもホウ統さんも同じように手を振ってくれた。嬉しい、感激。本陣の外を出て、待っていてくれている姜維さんに「待たせてごめんなさいっ」と声をかける。姜維さんは相変わらず優しい微笑みで「いいえ、行きましょうか」と言ってくれる。改めて外を見ると、ほとんどの敵が倒れていて、敵がほぼいない状態だった。 「皆、気合が入ってるようですね」 「まあ、そのほうが楽だから良いですけど」 「確かに」 そう言って歩き出す私と姜維さん。歩く先にはたくさんの敵。数は15くらいだ。あのくらいなら私にだって余裕。敵は私達の存在に気付くと、「げ!! また来やがった!!」「う、討ちとれぇえ!!」とこちらに向かってくる。私は咄嗟に武器を構え、相手の足を狙って弾を撃つ。 ――バンバンッ!! バンッ!! 撃たれた敵は次々に倒れて動けなくなっていく。残りは10人。後は姜維さんに任せようと銃を降ろすと、私の心中を分かったかのように武器である槍を構えながら相手に向かっていく姜維さん。最近、私と姜維さんのコンビネーションが合ってきた気がしないでもない。 「ッは!!」 最後の1人を倒した姜維さん。「ふう」と一息ついて、槍についている血を振り飛ばす。すると、どこからか「孫悟空撃破!! 討伐軍の勝利なりー!!」という声が聞こえた。顔を見合わせた姜維さんと私は「勝った、みたいですね」「はいっ!!」と微笑み合う。そして、一緒に本陣へと戻った。よし、田沼とたくさん話そう。 [*前] | [次#] [表紙へ戻る] |