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「敵増えるとか有り得ないっての!!」



バンバンッと増援した敵を倒しつつ、私は毒づいた。拳銃を初めて手にした時は戸惑ったものだけれど、今ではすっかり慣れてしまい、狙いたい所に弾を打てている。私の成長ハンパないかも。一人で感動していると、隣から左近さんが敵を倒しながら近寄ってきた。



「そんなこと言いながらも結構倒しちゃってるじゃないですか」
「左近さんに言われたくないです」
「ははっ、褒め言葉として受け取っておきますよ」



爽やかな笑みを浮かべる左近さん。その余裕そうな姿に、負けてられない、と拳銃を握る手を強める。そんな時、司馬昭さんの大きな声が聞こえた。



「げげっ!! 鍾会逃がした!!」



司馬昭さんの言う言葉に、私は驚いて司馬昭さんに顔を向ける。司馬昭さんの視線の先には、既に米粒程小さくなってしまった鍾会の後ろ姿。えっ……、鍾会見たかったのに……。ガッカリしていると、前方から豚さんが走ってくるのが見えた。眉間に皺寄せて豚さん、否、董卓を見る。



「おっほ! !美女発見!! 儂の嫁になれぇー!!」



董卓がそんなことを言いながら、元姫さんの元へと走って行く。元姫さんのその隣にはかぐやがいて、私は「マズイ……」と密かに青ざめる。案の定、董卓はかぐやに「おお!! そこの白塗りの娘も儂の嫁になれ!!」と言った。鳥肌が立つのを感じ、でも怒りもあり、私は複雑な感情のまま、かぐやと元姫さんの前に立った。いきなり前に立った私に、かぐやと元姫さんは困惑しながら「皐月……?」と私の名前を呼ぶ。



「なんだ? 儂の嫁にしてほしいのか?」



何を勘違いしたのか、そう言う董卓。んな訳ねぇだろ、と内心口が悪くなりながらも、私は董卓を睨みつけて口を開く。



「貴方のような毛むくじゃらで豚のような男が二人と釣り合うわけがないでしょう。御自分の顔を鏡で見なおし、顔を整えてからどうぞ」



最後に「ハッ!」と鼻で笑う。すると、董卓の眉間に皺が寄り、「ぐぬぬぬ……」と怒り狂った顔になる。その時、私の肩に乗っているニャンコ先生姿の斑が、私の頭をポカッと軽く殴った。



「馬鹿か!! 何を怒らせているのだー!!」
「ムカついたから、つい」
「ついではなーい!!」



斑がいまだに私の頭をポカポカと殴る。けれど正直痛くないし、ニャンコの姿だからか可愛い。爪をたてられたらさすがに痛いけど、斑は明らかに手加減をしてくれている。



「〜〜ッ決めたぞ!! 小娘、貴様も儂の嫁にしてやる!! そして、犯して犯しまくって儂以外の命令を聞かせなくしてやる!!」



ビシィッ!!、と私を指さして言う董卓。私も思わず「キモ……」と呟く。その呟きはどうやら董卓には聞こえていなかったようで、何も言われなかった。良かった良かった。でもね、私、今凄く腹が立ってるの。元姫さんに司馬昭さんがいるように、かぐやにだって運命の人が現れるはず。その前に董卓に何かも奪われるかもしれないだなんて、私絶対に嫌。



「どうするのだ? あやつ、今にもお前に襲いかかってきそうな勢いだぞ」
「斑、なんとかできない?」
「私に頼るなら前に出るな、大馬鹿者め!!」



バシィッ!!、と私の頭を叩く斑。い、痛い……。



「だってさ、斑が妖の姿になって倒したほうが早いじゃん」
「自分で何とかせんで何が的場一門の一員だ――!!!」



ゴッ、と斑に飛び蹴りを食らった私。さっきから斑に暴力ふられすぎてる気がする。暴力反対。でも斑の言葉にも一理ある為、私は諦めて大人しく拳銃を構える。そんな私を見て、斑は私の肩から降り、「最初からそうすれば良いのだ」と言っている。イラッとする言葉だけれど、今は無視無視。



「的場一門夏野皐月、推して参る」



そう言う私の言葉に、董卓も自分の武器を構えた。



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