08


かぐやが訪れて、早一ヶ月が経った。その間、私は複数の妖の邪を消してきた。そういえば、親友は元気にしているだろうか……。アニメや漫画が大好きで、私と最も気が合う心友。あの娘は、会ったらすぐ抱きついて来る癖があったな。



「懐かしいな」



中学の頃は一緒だったけれど、高校になってもう別々になってしまった。メールでやり取りしたり、時間がある時にカラオケに行ったりしていたけれど……、今では、そんなやり取りはもう無い。少し、寂しい。でも、多分仕方のないことなんだろうな。私が持っていた携帯じゃ、元の世界にメールとか電話なんてできなかったし。今となっては、あの子よりかぐやの方が親友と思えてきてしまっている。……時の流れっていうのは、本当に恐い。今まで大切だと思っていた者が、何ヶ月後には別になっているのだから。



「的場さん、私のこと好きですか?」
「急にどうしたんです?」



的場さんの背に、自分の背を預けて聞く私。「なんとなく」とダルそうに、というか、ダルダルで言う私。そんな私に微笑みつつも、的場さんは「言うまでも無いですよ」と言った。……それはつまり、好きということで良いんでしょうかね……?



「どういう”好き”ですか?」
「家族愛、というやつです」



なるほど。的場さんからしたら私は妹、もしくは娘のような存在か。私も的場さんのことが好きです、兄として。……こんなこと本当のお兄ちゃんに言ったら悔し涙を流されるかもしれないな。



「そういえば、かぐやはどこに行ったんでしょうね?」
「ああ、朝から見ませんね……」



的場さんの言葉に、私は「朝から……?」と聞く。私とかぐやは別々の部屋だし、かぐやは私より早く起きるから朝御飯も私より早い。てっきり散歩に行っていると思ったけれど……、的場さんまで会っていないとなると……。もしかしたら帰ってしまったのではないか、という不安が増してきて、いてもいられなくなってしまった私。「私、ちょっと探してきます」よ的場さんに告げ、私は外に出た。




 ***




「っ……、かぐや……!!」



どれだけ探しても見当たらない。どうしよう……、このままでは、本当に予感が的中してしまう。



「かぐや!! 居るなら返事して!!」



聞こえない。聞こえるとしたら、木々の音と鳥の鳴き声だけ。……段々、体が震えてきた。どうしよう、どうしよう。本当に、かぐやは帰ってしまったんだろうか……。こみ上げる気持ちを抑え、私はかぐやを探す為にまた歩き出した。だが、その時だった。
――眩しい光が私の身を包み込んだ。



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