陰陽師の友達
「よォ清明遊ぼっ!!」



元気の良い笑顔で、片手を上げながら言う名前。しかし、清明は名前に見向きもせず新聞を読みながら「後でな」と冷たく言い放った。そんな彼に名前はムスーッと眉間に皺を寄せ、「ケチーッ」と言いながら清明に近寄る。



「久しぶりに会ったんだから相手してくれたって良いじゃないか。友達だろ?」



仕事で何か月か地元を離れていた名前。陰陽師である清明とは、コンビニで同じ商品を取ろうとして喧嘩したという出会いをした後、名前曰く友人関係となった。ほぼ名前の一方的な絡みではあったものの、嫌悪感を出さない清明の様子からすると彼もまんざらでもないようだ。



「で、仕事の方はどうだったんだ?」
「んー、まあ、普通かな」



新聞紙を閉じながら聞いてくる清明の言葉に、そう答える。自営業なわけではないが、名前は会社の中でもそこそこ偉いらしい。清明はいつも自慢話を聞かされてはげんなりするものだ。名前は清明の隣に胡坐で座りながらも「そっちは?」と聞く。



「此方もいつもと変わらんな。あ、クリステルの天気予報の時間だ」
「ほんと変わんねえな。相変わらずのシスコン野郎」
「何を言う、クリステルの可愛さが分からん奴め」
「クリステルは確かに可愛いけど、お前のシスコンがヤバイってーの」



名前の言葉に、清明は「可愛さが分かるなら良いんだ」と言うと、テレビをの電源を付けた。以前と変わらない清明にホッとしつつも、シスコンぶりに呆れる名前。テレビに視線を向けると、そこには自身も可愛がっている結野クリステルの姿が映っていた。ニコニコと可愛らしい笑顔を見せるクリステルに、自然と頬が緩む。ただ、ニヤニヤしている清明に若干引いてしまうのは許してほしい。



「――それでは、占いの方に移りたいと思います」



天気予報を言い終わると、次はクリステルの占いコーナーへと移った。星座での占いの結果を言っていき、最後には1位、12位だけとなった。清明の星座は既に出ているものの、名前の星座はまだ出ていない。気になるのか、テレビをジッと真剣に見ている名前。



「12位は、乙女座のあなた。タンスの角に小指をぶつけ、上からのたらいで頭を打ち、素足で犬の糞を踏むでしょう」
「何その地味な嫌なことォ!!?」



思わずツッコミを入れてしまった名前。いや待て、冷静になれ。軽く頭を横に振り、自分に言い聞かす。今のは乙女座、名前の星座ではない。ということは、この乙女座の占いは自分には関係の無いこと。気にしてはいけない。12位が乙女座ということは、消去法で1位が名前の星座ということになる。



「1位のあなた、今日はとても良い日になるでしょう。以上で占いを終わります」
「やった!! 良い日になるってよ!!」
「いや気づけェ!!? さらっと流されてること気づけェ!!!??」



清明のツッコミ虚しく、名前は占いで1位になったことが嬉しいのか、清明の言葉に耳を傾けていなかった。「今日一日どう過ごそっかなあ」と呑気に言う名前に、言う気も失せたのか項垂れる清明。名前は何かひとつ嬉しいことがあると、そればかりに気を取られてしまう。まさか受け流されていることに気づかないとは。



「なあ、今日の夕飯クリステルと三人で食べに行かないか!!?」



キラキラとした笑顔で言われ、清明は言葉に詰まる。確かに今日、クリステルはあまり仕事が入っておらず早めに帰っては来るが……、それにしたって、この変わり様……。いや、本人が良いのならそれで良いか。彼女に聞こえないように小さな溜め息をついた清明は、「行くか」と笑みを浮かべて言った。



「よっしゃ!! 何食べたい?」
「和食なら何でも」
「中華にすっか!!」
「俺に聞いた意味は!!?」

end
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