ずっと、
「やっぱり人多いッスね」
「だなー」



今日は桃ちゃん先輩とネズミーランドでデート。休日に来た為、案の定混んでいて、正直少し気が滅入る。しかし桃ちゃん先輩は元気で、人が多いのに「うひょー、道通れっかなー?」と笑っている。相変わらず、能天気なんだかポジティブなんだか。



「にしても腹減ったな」
「早くないッスか?」
「今日楽しみであんま朝飯食べれなくてよ」



……なんで、そういう照れることサラッと言うかな。少し照れながらも、自分が背負っているリュックのチャックを開け、中をごそごそと漁る。そんな私に、桃ちゃん先輩が「どうした?」と聞いてきた。……あ、あった。お目当てのものをリュックから取り出し、「はい」と桃ちゃん先輩に手渡す。



「……これ……、」
「朝作りました。初めてなんで味は保証しないッスけど」
「〜〜っま、マジで!!?」



朝、従姉の菜々子さんに頼んで弁当を作ってきた。本当に初めてだから思うようには作れなかったけど、「大丈夫、喜んでくれるわ」と菜々子さんが励ましてくれて、持ってくることが出来た。桃ちゃん先輩は嬉しそうに弁当を抱え、「空いてるとこ行こうぜ!!」と私の手を繋いで歩き出した。




 ***




なんとか空いているテーブルと椅子を見つけ、二人で座った。弁当を広げて桃ちゃん先輩が一口食べると、「うんめーっ!!」と笑顔でそう言ってくれた。そのことに「良かった」とホッとしている間にも、桃ちゃん先輩はガツガツと弁当を食べてくれている。菜々子さん、有り難う。



「そうだ、この後ペンダント買いに行こうぜ、お揃いの」



お揃い……。



「それならペアリングが良いッス。テニスやってても邪魔にならないし」



私の言葉に、桃ちゃん先輩は「えーっ」と不満そうに口を尖らせる。しかし、すぐに「じゃあリング付いてるペンダントにするか」と言った。確かに、それなら場合によってはペンダントにも出来るし、指に付けることも出来る。「はい」と頷くと、先輩はニカッといつものように太陽のような笑顔を浮かべた。



「にしても、本当美味ぇな!!」
「どうも」
「これならいつ嫁に来ても良いよな」



先輩の言葉に、「えっ?」と声が漏れた。しかし私の声に気付かなかったのか、先輩はガツガツとお弁当を食べている。……今の言葉って、どういうこと……? ”いつ嫁に来ても”っていうことは、私が桃ちゃん先輩のお嫁さんになるっていう、そういう、こと……だよね……? 考えるだけで顔が熱くなるっ……。



「ん? どうした?」
「な、何でもないッス」
「? 具合悪くなったんならすぐ言えよ?」
「は、はい」



何考えてたか、なんて言えるわけない。言ったら、桃ちゃん先輩はどういう反応するのかな……。そんなことを思いながら、先輩に視線を向ける。相変わらず嬉しそうにお弁当を食べる姿は私を嬉しくさせて、同時に幸せな気持ちにさせる。
この人と、ずっと一緒に居られたら良いな、なんて恥ずかしくて言えないや。

end
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