みんな大好き竜崎さん
合宿が始まった。今回の合宿は青春学園のみで、他校の人達がいない。その為、彼女である竜崎名前と、彼女の友人である小坂田朋香を臨時マネージャーとして合宿に誘った。名前の祖母が監督ということもあって、二人は快く引き受けてくれた。だけど……、正直誘わなきゃ良かった、と今更後悔している。



「ねえねえ名前ちゃん、これあげるーっ」
「あ、有り難うございますっ」
「これあげるぜ。桃ちゃん先輩からのプレゼント!!」
「わ、良いんですか? 有り難う御座います」



トレーニングの休憩時間、先輩達は名前の周りに集まっていた。菊丸先輩はポッキーを一本、桃城先輩は水分補給の為にとスポーツドリンク。断れない性格をしている名前は、先輩達から貰ったものを苦笑しながらも受け取っている。そんな光景を、彼氏である俺はスポーツドリンクを飲みながら見ているだけ。本当は不満だけど。



「越前なんてやめて僕にしない?」
「な、何言ってるんですか、不二先輩っ」



本当何言ってんスか。ニコニコと余裕の笑みを浮かべる不二先輩に、名前は顔を真っ赤にしながら「わ、私にはリョーマ君が居ますからっ」と言う。そうッスよ、名前の彼氏は俺なんで。名前は俺一筋なんで。せめて俺を通してからにしてください。



「だが名前、中学生カップルが将来結婚する話は聞いたことがないぞ」



ちょっと何言ってんスか乾先輩ッ!!!! 思わず、バッ、と名前を見ると、案の定「えっと……」と少しショックを受けながら困惑していた。乾先輩の言葉に、「そうなんスか」「じゃあ安心だな」と言う海堂先輩と手塚先輩。何が安心なのか俺に分かるように教えてください。



「――名前」



流石に耐えれなくなり、名前を呼ぶ。名前は俺を見ると、先輩達に「失礼します」と言ってこちらに小走りで来た。「どうしたの?」と聞いてくる名前は笑みを浮かべているが、先程の結婚話のショックが消えないのか少し引き攣っている。…………、



「名前は俺の彼女だよね?」
「え、あ、う、うん、そうだよっ」



顔真っ赤。そのことに少し笑みを浮かべつつも、名前の額に自分の額を当てる。そのことに驚いたのか、名前は「えっ」と言いつつも顔を赤くしながら身を引こうとする。しかし、俺が後頭部に手を回し、離れるのを止める。こんなに至近距離で、名前がドキドキしているのが伝わる。……まあ、俺もドキドキしてるんだけど。



「――俺以外の人とあんま喋んないで」



そう言うと、ぼぼぼんっ、と湯気がたちそうな程分かりやすく顔を真っ赤にする名前。流石にこれだけ赤いと、熱中症が心配になる。そう思っていると、「うん……」と小さく名前が言った。まさか頷いてくれるとは思わなかった為驚いたが、すぐに頬が緩むのを感じる。
知らないだろうけど、俺結構一途で独占欲強いんだよね。

end
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