58


時は平成。
死んだことにより、平成時代へ転生した。赤ちゃんとして生まれた時には、前世の記憶は全く無かった。だが、5歳の誕生日、前世の記憶を思い出した。



「え、やっぱり駄目ですか……?」



私はこの時代で、並盛中学校という学校に通っている。今の私の年齢は15歳。
私は今、校長先生や先生方より強い権力を持っている風紀委員長・雲雀 恭弥(ひばり きょうや)と話をしている。内容は、今年作られた「大川学園」という学校に転入したい、ということ。大川学園は、かつて学園長だった大川平次渦正先生が校長を務める学校。すなわち、現代版忍術学園といったとこだろうか。しかし、雲雀恭弥は聞き入れてくれない。



「君は笹川了平のストッパーなんだから、この学校から消えられると困る」



笹川了平(ささがわ りょうへい)とは、私の親友のことである。「極限」という言葉が好きな熱血馬鹿。なんだか七松と似ている、凄まじい男なのだ。



「お兄ちゃんはOKなのに……」
「土井半助は僕にまで説教する面倒くさい奴だからね」



この言葉でお気づきの方もいるであろう。
土井半助とは土井先生のこと。今では私のお兄ちゃん。年齢は25歳。お兄ちゃんは、この並盛中学の教師だったのだが、「大川学園」のことを知って大川学園の教師になった。ちなみに、きり丸は私の弟。年齢は10歳。名前は「季利」と現代風な名前に変わった。季利も、今では大川学園の生徒。



「どうっっっしても駄目ですか!!?」
「しつこい。駄目なものは駄目」
「そんなあ……」



見事にバッサリと切り捨てられる。何度も何度も頼んでも、その結果は惨敗。



「……どうして、そんなに大川学園に転入したいわけ?」
「……会いたい人達が、いるんです」



忍術学園には、大好きな皆がいる。私のせいで亡くなってしまった人達。謝りたかったし、凄く会いたい。でも何より、今でも好きな七松に会いたい。私の言葉に、雲雀さんは眉間に皺を寄せる。



「そんなの僕には関係ないよ」
「で、ですよね……」



何故、彼がこの学校で一番の権力を持っているのか。それは、この学校の中で1番強いからである。今だってトンファーをちらつかせ、私をビビらせている。仕方ないので、そのまま雲雀さんに別れを告げて教室へと向かう。ああー…、どうしたら良いものか。




 ***




「む、雲雀との話は終わったのか?」
「うん。待たせてごめん、帰ろうか」



放課後だというのに、教室で私を待っていてくれた了平。私は鞄を手に持ち、了平と共に教室を出た。「何を話していたのだ?」と聞かれたのだが、転校したいと言っていない為「ちょっとね」とはぐらかす。会話をしながら昇降口へ行くと、



「あ、お兄さん!!」
「チッ、芝生頭かよ」
「笹川先輩、天道先輩、ちわーッス!!」



後輩の三人と出会った。
おどおどしているのが沢田綱吉(さわだ つなよし)。了平に舌打ちをした不良が獄寺隼人(ごくでら はやと)。明るい好青年が山本武(やまもと たけし)。三人とも個性的な二年生だ。この三人とは、了平繋がりで仲良くなった。



「今帰りなんて遅いですね」
「雲雀さんと話をしててね。三人は?」
「俺達は補習ッス。獄寺は俺達の付き添いで」



五人で話しながら、昇降口を出る。ふと、何処からかキャーキャー聞こえる。「うるせぇな、何の声だ?」眉間に皺を寄せて呟く獄寺。うん、確かにうるさいな。「アイドルでもいたりして」「むっ!!? 撮影か!!?」と会話をしつつ、歩いている私達。次第に、門のところにたくさんの女子生徒が集まっているのか見えてきた。



「あ……」



女子生徒達の間から見えた顔。その顔が見えた瞬間、その人物と目が合った。驚いて立ち止まる。了平達はそんな私を見て、立ち止まった。「秋奈、どうかしたのか?」と了平に聞かれ、言葉に詰まる。知り合いと言ったら良いんだろうか。でも、この時代ではまだ知り合っていない。うーん、なんと答えるべきか。不破のように迷っている時だった。



――ぎゅっ
「秋奈、やっと見つけた!!」



真正面から思いっきり抱きつかれた。「うわっ!!?」と驚いてしまったが、今はそれどころではない。今、私に抱きついている人物。それは、



「七松……?」
「ああ、そうだ!! 私だぞ!!」



七松小平太だった。私の好きで好きで仕方のない人。



「おい、小平太!! いきなり抱きつくな!!」
「全く小平太ったら、秋奈ちゃんが怪我したらどうするの」
「……少しは落ち着け……」
「まあ、会えたのは嬉しいけどな」
「なんだ、文次郎のくせに素直じゃないか」



上から食満、善法寺、中在家、潮江、立花。私は七松から離れ、立花達の顔を見る。七松含め、皆は髪の毛が短い。中在家にいたっては、頬の傷が無い。「皆……」と涙が出るのを、必死に堪える。私が殺してしまった皆は、この時代で生きている。七松が私の頬に触れる。



「秋奈、」
「っ……なに……?」
「――…好きだ」



しっかりと、私の目を見て言った七松。その表情はいつになく真面目で、少し驚いてしまった。六年生メンバーは、私と七松を静かに見守っている。だが、了平達は驚いていた。返事なんて、とっくに決まってる。



「――っ私も……、私も好きっ……!!」



その瞬間、涙が溢れ出て止まらなかった。



≪完≫




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