親友が絡まれてます。 | ナノ

mission.05


「お待たせしました!!」



待ち合わせ時間の五分前に着いた私。だが、スクアーロさんの方が早かったらしい。私が来た頃には、スクアーロさんはボーッと空を見上げながら待っていた。今日は珍しくオシャレをした。來海や他の友達と出かけるときもオシャレをするけど、今日ほど身だしなみに気を使ったときはない。多分。



「来たかぁ」



腕を組みながら店の壁に背中を預けながら待っていたスクアーロさんは、私の顔を見て壁に寄り掛かるのをやめる。以前会った時の黒いロングコートだったのだが、今日は普通の私服のようだ。かっこいいなあ、と見惚れながら近づく。



「っ……?」



スクアーロさんに近づいた瞬間、鉄の臭いがした。微かながらもあまり好きではない臭いに私は顔を顰め、視線を下に下げる。ふと、スクアーロさんの足に視線が行き、そこに何かがついているのが見えた。私の目がが正しければコレは…――血、だ。



「どうかしたかぁ?」



スクアーロさんに声をかけられハッとし、「いいえ、行きましょうか!!」とスクアーロさんの腕を引っ張って無理矢理歩かせる。「まさか……」と不安がよぎりつつも、私は必死に笑顔を作る。




 ***




「――…で、そのザンザスって男がなぁ、」



現在、あの珈琲店でスクアーロさんの愚痴を聞いております。どうやら日頃の鬱憤が溜まっているらしく、普通の時とは打って変わって愚痴を言う口は止まらない。最初は軽い愚痴だったものが次第に大きくなり、今では怒りをあらわにしている。怒っているスクアーロさんの顔は、それはそれは恐ろしいものです。私をナンパしてきた人達、この顔で逃げたんだよね。今なら、その気持ちが分かる。



「……でも、スクアーロさんってその人の事随分信頼してるんですね」
「ああ? どこがだぁ?」
「だって、”クソ上司”とか言いながらもさり気なく褒め言葉が出てるんですもん」



思わず苦笑してしまう。スクアーロさんは眉間に皺を寄せて「理解不能」とでも言うかのような表情をしている。それだけならまだ良いのだが、更には「お前、頭おかしいんじゃねぇのかぁ?」と本気で心配そうな顔をされた。私はそのことにムッとし、「失礼ですね」とスクアーロさんを睨む。すると、私の姿を見たスクアーロさんが喉を鳴らして笑う。



「悪ぃ悪ぃ。思わず虐めたくなっちまってなぁ!」



おかしそうに笑うスクアーロさん。こんな風に笑うの、初めて見た……。ぽーっと見惚れていると、私の様子がおかしいことに気付いたのか「ああ? 顔赤ぇぞぉ?」とスクアーロさんが私の顔を覗き込んできた。そのことに更に顔が赤くなりながらも「大丈夫です!! お構いなく!!」と言う。スクアーロさんは不思議そうな顔をして、身を引いてくれた。いけないいけない。本人にバレたら、本当しゃれにならない。



「そういえば、スクアーロさんって後どのくらい日本に居るんですか?」



私がそう聞くと、スクアーロさんは考える素振りを見せる。そして、「多くて五日」と答える。その言葉を聞き、私は思わず「え、少なッ!!」といつもより大きめの声で言ってしまう。じゃあ、スクアーロさんに会えるのは、多くても五日……。



「あ、あの、会ったのは何かの縁です!! またいつか、お茶しませんか!!?」



私の言葉に、スクアーロさんは驚いた顔をする。だが、その表情はすぐ消え、かわりに笑みを浮かべた。「ああ、会えたらなぁ」と言って、私の頭を撫でるスクアーロさん。自分の胸の鼓動が早くなるのを、私はすぐに感じた。ああ、顔がとてつもなく熱い。

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