Clap
ぱちぱち


拍手ありがとうございました!

青、黄、緑、紫、黒。
僕の世界の全ての色。
この色が揃っていた時は、どんなことでもできると思っていた。
僕一人でも勝てる試合。
だが、この色があれは勝利は確固たるものになった。
試合以外のときも、この色が揃えば青春というものを謳歌できた。

青が気紛れに動き。
黄がバカのように騒ぎ。
緑がラッキーアイテムを持ち。
紫がお菓子を飽きることなく食べ。
黒が静かにそれらを見つめる。
これがいつもの日常だった。
あの色達は僕の世界を染め上げ、退屈させることなく輝いていた。

いま僕の傍に色はない。
何も、ない。
帝光という名の楽園は消え去った。
ここには青も黄も緑も紫も黒もない。

卒業式では感じなかった、なんとも言えない虚無感。
失ってから気付く大切なものとはこのようなことなのか。
乾いた笑いが喉から漏れる。
まさかあの色達がここまで僕の世界に入っていたなんてね。
でも、またすぐに会えるだろう。
僕達がバスケをしている限り、再び色は僕の前に集う。
僕はその日を心待ちにしていよう。


きっとその日は仮初めの楽園となるだろうから。


〈楽園を遠く離れて〉














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