槿花一日。








「ヒナ疑問。」

「何がですか??」


向かいにムスっとして座るヒナと、その横で首を傾げるシアン。


「さぁてできましたよー。」

「だからこの状況が!!疑問なのよ!!」


シアンの向かいにはたしぎ。そして俺ら4人で囲むテーブルの真ん中に鎮座するのはおでんの鍋。世話をしているのはにこにこしているシアンだ。


「いやぁ、何かおでんのセット頂いちゃいまして。なら皆さんで突いた方がいいかと思いまして。」

「まぁ、おでんは理解したわ。何でこのメンツなのよ。どっからスモーカー君達が出て来たのよ。」


タバコを灰皿に押し付けたヒナがおでんをよそうシアンに尋ねる。


「たまたまたしぎさんにお会いしたのでお誘いしたらスモーカーさんも来たので。」

「すいませんお邪魔して。」


シアンがヒナに盛り付け終えた皿を差し出した。たしぎが申し訳なさそうに頭を下げた。


「いいわ、気にしないで。貴女達に怒ってるんじゃなくて予測困難な行動しでかしたこいつに疑問抱いただけだから。」


はぁ、とため息をついたヒナが、早々におでんを突こうとする。


「あ、ヒナちゃん熱燗ありますよ!!」


と、次の皿によそっていたシアンが思い出したように言う。


「貰うわ。」

「おい、ワン公俺にも酒。」

「たしぎさんは如何ですか??」

「あ、えっと、じゃあ頂きます。」

「じゃあ取って来ますねー。」


と、たしぎにおでんを渡して、配膳を中断してパタパタと席を離れて行ったシアン。


「ったく、じゃあ自分でよそっとくか。」


やれやれと立ち上がる。改めて鍋を覗き込むとやけに旨そうだ。


「なぁ、ヒナ。このおでんあのワン公が作ったのか??」

「じゃないの??セット貰ったみたいだし煮るくらいなら出来るでしょう。」


さっさと食べ始めたヒナがさも当たり前と言わんばかりに言う。


「シアンたまにお菓子作ってくるくらいだもの。」

「美味しいですよねシアン君のお菓子。」


予想外の奴の料理スキルに驚きながらも、よそい終え、座った頃にシアンが帰ってくる。


「呼びました??ヒナちゃん。」


目を輝かせ、ヒナにそう尋ねるシアン。まんま飼い主に呼ばれた犬だ。


「呼んでないわ。」


ざっくりと切り捨てられたシアンはあからさまにしょんぼりとして、ヒナとたしぎにおちょこを配り、酒を注ごうとする。


「おい、ちょっと待て。俺のおちょこは。」

「…………あぁ、忘れてました。はい、どーぞ。」


ちなみに補足しておくと俺とこのワン公、仲は決して良くない。このおでんにだってたしぎから言われなかったらきっと同席していない。


「お前、本当いい性格してるわ。」

「何のことでしょうか??」


何も変わらずニコと笑うシアン。お人よしだと人は言うが中身は非常に強かである。おっかねぇ番犬だ。苦笑いしながらそれでも形式上は注いでくれる酒を貰う。


「あら、シアン君は飲まないんですか??」


おちょこが3つしか無いことに気が付いたたしぎが言う。


「あぁ、いいんです。後片付けとかありますし、そもそも僕あんまりお酒好きじゃないんで。」


自分の分のおでんをよそい終えて席に着いたシアンが言う。


「そうなんですか。まぁ、お酒強そうじゃないですもんね。」

「お前も人のこと言えねぇんだから飲み過ぎんなよ。」


納得したように言うたしぎに釘を刺すと、「わ、わかってますよ!!」と返された。


「シアン、」


と、もくもくとおでんを食べていたヒナがシアンを呼んだ。


「はい、なんですか??」

「丸一個のジャガ芋は多いわ、ヒナ不要。」


と、ジャガ芋を半分に割ると掴み上げてシアンに差し出した。一方のシアンも何の躊躇いもなく口を開けてジャガ芋を頬張ろうとして、


「はうっ!?」


口に入れ損ない熱々のジャガ芋がシアンの口の側に直撃した。


「あら、ヒナ失敗。」


一方ヒナは淡々と、もう一度シアンにジャガ芋を食べさせた。


「はふっ!!」


しかしそのジャガ芋は余り冷まされていなかったらしく頬張った途端シアンが涙目になった。


「だ、大丈夫ですかシアン君。」

「ヒナお前もうちょっと冷ましてからやれよ。つーか口に突っ込まずに皿にやりゃよかったろーよ。」


俺は飽きれ、たしぎはオロオロして、言う。ヒナは悪びれる様子もなく、涙目でプルプルしていたシアンはどうにかジャガ芋を飲み込んだらしく、ふはー、と大きく息を吐くと、


「ら、らいひょうふへふ……、ひなひゃんはふぁひゅふひゃいへふ……。ほひゅのひひゃふぁひゃふひょふはひょははひゅひんふぇふ。」

「何言ってっかわかんねぇよ。」

「大丈夫です。ヒナちゃんは悪くないです。僕の舌が弱卒なのが悪いんです。ではないですか??」

「良く分かるわね。ヒナ感心。」




たしぎ曰く、とりあえず水飲んできます、とフガフガいったらしいシアンはとりあえずテーブルを離れて行った。





とりあえず体張ってるのは伝わりました。













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スモやんとたしぎたんを出したかったら
気づいたらみんなでおでんつついてた(笑)
スモやんと主の仲がよろしくない理由は
お察しください(笑)
多分その内書きますが(笑)






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