「はー寒い寒い。」
冬島が近く、最近急激に気温が下がってきた。かじかんだ手を擦り合わせながら、息をかけて少しでもあっためようと悪あがきをする。とは言っても、私は極度の冷え症なので、なんら変化は見受けられないのだが。
「そんな縮こまるくれぇ、寒ぃかぁ??」
「隊長見たら余計寒くなりました。」
そんな私の前に現れたのは今日も素敵に半裸な2番隊隊長サマ。
「は??なんで俺見たら寒ぃんだ。」
「寒いというか寒々しいですね、何なんですか半裸って、馬鹿ですか、馬鹿ですよね。」
早く自分の部屋か食堂に行ってあったまりたいのに、引き止められた私は馬鹿馬鹿と連呼する。と、デコピンが飛んだ。
「あだっ、」
「馬鹿馬鹿言うなよ、仮にも隊長だぞ??」
「寝坊と書類滞納がデフォな隊長ですけどね。」
「るせぇっ」
「いでっ、」
もう一度飛んだデコピンに冷えた手を宛てる。
「うぅ、自分の手が冷え過ぎてアイシング出来るわ…。」
なんて自虐地味たことをつぶやくと、突然隊長が私の両手を取って、自分の手で包み込んだ。
「ふぉ!?ななな、なんですか隊長。」
びっくりして声がひっくり返ったり奇声を発する私を余所に、私と隊長の手をジッと隊長は見る。
「ほんとにちべてぇな、お前の手。」
そして、ぽつりとそう言う隊長に私は目をぱちくりさせる。
「まぁ、そりゃあ私冷え症ですし、」
「冷え症、ねぇ。」
「そ、そそそそそれに隊長の手が暖かいんですよ。」
挙動不審過ぎるだろ私!!と心の中でつっこむ。隊長は至ってマイペースに、今度は私の手を自分の両頬に添えさせた。私の心の中は大騒ぎである。
「まぁ、俺ぁ火だからな。」
隊長の顔と手に挟まれて手の温度が上がる以上に顔の熱が上昇していく。
「あ、あの、隊長…??」
「お前の手、冷たくて気持ちいい。」
いや、話聞いて下さいよ!!と言おうとしたが、口がパクパク動くばかりで、隊長は本当に気持ちいいのか、目を閉じて、口元を緩める。普段から他の女性船員と、エース隊長かっこかわいいいよね!!なんて盛り上がったりしてはいるが、このふんわりと微笑む可愛さ+このシチュは心臓に悪い。真剣に動悸が激しくて死んでしまいそうだ。
「お前さ、体温低かったりする訳??」
「へ??あ、た、確かに、低体温ですけど、」
それが一体何か、と言う前に、すっぽりすっかり抱きしめられてしまったから、"そ"辺りで口が固まったまま、私の全機能が一瞬フリーズした。
「ん、やっぱり冷たい。」
隊長が更に抱きしめる腕に力を篭めた辺りで覚醒すると、
「ちょ、たたっ たたたたた隊長っっ!!」
「ぶはっ、何言ってんだよお前。」
テンパることしか出来ない私を隊長は笑う。
「ん、なんか耳も赤いな。まだ寒いか??」
更に何の悪気もなく、そう言って私の耳に触れるもんだから、もう堪ったもんじゃない。
「ち、ちちがいま、す!!た、多分隊長の、熱が移ったんですよ!!」
「ん、そうか。」
そう言うと隊長はあっさり私を離した。
「俺も十分冷えたし、お前もあったまったんならもういいな。」
「へ!?」
そのまま頭の後ろで手を組み、上機嫌に立ち去ろうとする隊長に、何がなんだかと、ぽかんとすると、
「俺、火で熱い。お前冷え症低体温で冷たい。俺カイロお前保冷剤。ちょうど良くないか??」
ハハハと爽やかに笑う隊長。最早返す言葉も出ない。
「じゃ、また寒かったら言えよな。」
と、そのまま去って行ってしまったのだ。私はただその場に立ち尽くすばかり。
「…………へ!?」
数瞬経ってから再び私の口から出た疑問符に、彼は気付かなかっただろう。
冷え症は辛いよ。次なんてあったら私
本気で死にそうだ。
>>NEXT...??
―――――
こういう無邪気に
お子様思考が許されるのは
D兄弟くらいじゃなかろうか←
多分サッチだったら
セクハラ呼ばわり
ぼこられエンドな気がする←←
(サッチファンの方すいません。)
続く、かも。
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