モノクロスカイ

タロの日記

これは去年、そのとき僕はまだ一年生で、小さな寮で暮らしてた頃、小さな部品を譲ってもらうついでに屋上で話をしていた。
寒空の下、ああ、その日は今みたいな晩秋で、曇りで空が白くてね。絵が描けそうだと話していたんだ。

そして、帰ろうとしたらドアが開かない。うちの学校は屋上へ自由に出入りが出来るのだが、誰かがドアを間違えて閉めたようでね。
そのうち誰かくるだろうと呑気に待ちかまえてみたが、誰も来ない。
元々数分で帰る予定だったので僕らは学ランしか着ておらず、キーに至ってはセーターのみ。僕は非常に心細かったのだが、キーは沈む陽を見ながら喜嬉として「コップに入れたら綺麗だろうな」と写真をとっていた。

屋上に閉じこめられて二時間。空はどっぷりと暗くなり、墨汁に漬けられているような感覚。
流石に二時間も冷たいコンクリの上で雑談なんか出来ず、無言で隣り合わせに座っていた。寒いので手と手を取り合ってさ、男なのに。小さなチョコレートをかじって分けあってさ…
キーの顔はずっと赤くて、ちょっと可愛く見えてしまった。チョコをかじるキーに見とれた自分が恥ずかしい。そのとき僕は勢いで「チョコがついてるよ」ってキーの指を舐めてしまったのだが、彼は「暖かい…」って言って笑ったんだ。こら、おまえも男だろと思う前に可愛いってまた思ってしまって、冷たい指を暫し舐め続けた…バカだよな。

十時になっても警備員が来ず、そろそろ凍死の覚悟がついた頃、キーが突然僕の学ランに手をのばしたものだから驚いた。
彼はその気なのかと暫し混乱してる間にボタンを外され、キーが僕に抱きついた。そして一言。「タロ、雪山に遭難したときはこうするんだよ」と。
…死ぬよりはマシだと思い、スキンシップなつもりで抱き合ってました(泣)夜空には満点の星。ああ、男とデートする羽目になるとは…

翌朝、気がつけば何故か警備員ではなく、風紀委員のアヤが屋上に居た。スケッチブックを持っていたので、絵を描きに来たのだろう。そして一言「あんた意外と熱かったんじゃない?」。くっついたままの僕らはただその皮肉を笑うしかなかった。


[ 2/27 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

白昼夢がお送りします。
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -