“兵器少女”
彼女の名前は、メリー。皆にはママと呼ばれている。
極寒の地で、慰安婦をしている。
「ねえ、」
彼が言い切る前に、口でジップを下した。
そして、慈しむかのように彼女は舐め始めた。
「ねえ、俺たちのこと、好き?」
「ええ」
極寒の武器庫の中に声が沈んだ。
「ねえ、好きって言って?」
兵士たちは彼女を抱くことだけが楽しみだった。
そうやって彼女は事務的に男を抱いていった。
傷だらけの男たちを癒していった。
「ねえ、大好きだよ、ママ」
とある兵士が、彼女を修理しながら言った。
「だめよ、まだ修理中」
「わかってるって」
修理していた兵が、つぶやいた。
「もうすぐ敵国の大群が来る。だからさ、最後に僕を抱いてよ」
彼女は嬉々とした声で、反論した。
「やだなあ、私、兵器なんだよ?あなたならしってるでしょ?私の奥深くのこと。
さあ、今よ。今こそ反撃のチャンスよ。」
待ってましたと言わんばかりに、ほほを赤らめて彼女は言う。
「私の体内に、強力な爆弾があるわ。それを倉庫にある戦車で撃ってね。私は先に天国を下見してくるからね。」
彼女はうれしそうに笑った。
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