「「いただきます」」

二人で行儀良く手を合わせて鍋を食べ始めた。

「あー、冬って感じですね」
「うん、こたつと鍋は冬の醍醐味だよね!」

ジャーファルにぽん酢を手渡しながら答える。

「ありがとうございます佳都。」
「いいえー。あ、このお肉柔らかい」
「本当ですね、安かったわりに」
「白菜げっと!」
「そんなに好きですか」

ジャーファルに呆れたように笑って言われた。
鍋といえば白菜だと言ったらそうですかとまた笑われた。

「あー、明日も休みがいいなあー」
「いつもそんなこと言ってますね」
「だって休みならずーっとジャーファルと一緒にいられるんだよ?」
「どうせ大学でも一緒じゃないですか」
「授業違うときあるしー、人の目があるしー」
「人の目なんか殆ど気にしてないくせに」
「それはジャーファルでしょ」

一度先輩にお酒を飲まされたジャーファルが大勢の前で俺にディープキスしてからはジャーファルはあまり人の目を気にしなくなった。
因みにそのとき俺は素面で、ものすごく恥ずかしい思いをした。
…まあ俺も酔ってみんなの前でジャーファルにキスした上に好きだなんだって言いまくったことあるんだけど。

「佳都」

ぼーっと昔の思い出に浸っていたらジャーファルに名前を呼ばれて現実に帰った。

「うん?」
「まだ食べます?」
「あ、ううん、ごちそうさま!」

こたつの上を片付けて洗い物も済ませてからアイスを持って再びこたつに潜る。

「やっぱり冬は雪見でしょ」
「…寒くないんですか」
「鍋であったまったもーん」

ぱくりと一口かじるともちっととろっとひんやりしてて、甘酸っぱくて美味しい。

「…ジャーファルも食べる?」
「いいえ、いいです。」

頬杖をついて見つめてくるジャーファルに問うが、すぐに断られてしまった。
美味しいのに…といじけているとジャーファルが向かい側から隣に移動してくる。

「?どしたのジャーファル」
「いちゃいちゃしようと思いまして」
「あはは、なにそれ」

ジャーファルはぴったりと寄り添って指を絡めてきた。
アイスをもう一口頬張る様子をじっと見られて気恥ずかしいので食べる?ともう一度問うと顎を指先で持ち上げられる。

「こっちをもらいます」
「んっ……!!?」

口づけられて、ジャーファルの舌が歯列を割って滑り込んできた。

「っ…ふ…ぅ」

溶けかけたアイスを舌ごと絡めとられる。
舌先で上顎を擽られて力が抜けてしまい、ジャーファルの胸にしなだれかかった。

「っ、ジャーファル…!」

やっと解放されてから涙目で睨みつけて抗議するがジャーファルは俺の口内から奪っていったアイスをもぐもぐと咀嚼して飲み込む。

「ご馳走様でした」

にっこりと微笑まれて何も言い返せなかった。

「キス魔め…」
「もう一回して欲しいんですか?」
「…して欲しくなくは、ないけ…」

言い切らないうちにちゅっと軽いリップ音をたてて口づけられる。
そのまま何度も啄ばむように唇を合わせ直されて身体から抵抗する力を奪われていった。

そのまま二人でキスに没頭して完全に力が抜け切った頃にやっと唇が離れる。

「…そんな名残惜しそうな顔しないでください」

お、俺そんな顔してた?

「しっ、してないよ!」
「そうですか?それはそれで残念です」

体制を変えたジャーファルの足の間に座らされて、腹に腕を回される。
照れ隠しに溶けかかった雪見だいふくを口に放り込んだ。


ーーーーーーーーーー


お風呂が湧きました、と機械音が鳴ってお互いを見やった。

「ジャーファル先入っていいよ」
「いえ、私は後でも」
「えー、いいって先入りなよ」
「貴方こそ…あ、」

ジャーファルが思い出したように声を発する。

「一緒に入ります?」
「………は?………いや!いやいやいやいや!それは駄目!」
「何でです?貴方と私の仲でしょう。それにこの間は一緒に入ったじゃないですか」
「それはジャーファルが無理矢理…!」
「あのときはあんなに気持ち良さそうに鳴いて「わーーーっ!」」

爆弾発言をかまそうとしたジャーファルを遮って大声を出した。
そういうことをさらっと言おうとしないでジャーファル!

結局じゃんけんで俺が先に入ることになりました。








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