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「皆さん、ハロウィンパーティーにようこそ!今夜は楽しんでいってくださいね!」


まるでボンテージ衣装と見間違うかのような黒のエナメルの際どいコスチュームで乾杯の音頭をとるジャクリーン。そのセクシーなコスチュームはどうやら悪魔らしい


乾杯の掛け声の後、アイミもシャンパン風のジュースをコクリと口にし改めて回りを見渡した


(う〜ん、やっぱりスゴい〜!!)


今日はキッドに誘われ超人委員会主催のハロウィンパーティーに来ていた。キッドたちニュージェネーションたちはもちろん、レジェンドと呼ばれている伝説超人たちまで集まって会場はすごい熱気。しかもハロウィンパーティーとあってみな仮装をしているので余計迫力がある


「アイミ〜!」


「あ、凛子。わ〜!凛子スゴい!カッコいい!!」


「そぉ〜、へへありがと」


凛子の仮装は某大人気映画ヒロインの女海賊。ペイズリー柄のベストに肩が大きく開いたカットソー、黒のコルセットにレギンスとブーツを合わせちゃんとサーベルの小物付き。羽の付いた帽子も被っていて凛子の凛々しいイメージにぴったりだった


「アイミはアリスだね、アイミらしくて可愛い!」


「ありがとう、でもかなり恥ずかしいよ」


アイミの仮装は『不思議の国のアリス』ふんわりとした水色のワンピースに白いフリフリのエプロン、髪には大きな黒いリボンのカチューシャを付けている。スカートはコスプレ用に作られているのかかなり短めで恥ずかしい


「凛子ちゃ〜ん、アイミちゃ〜ん!」


声をしたほうに視線を移すと大きなカボチャの格好をした万太郎の姿


「ぶっ!マンタっ!なっ、何それ!!カボチャが歩いてきた!マジウケル!」


凛子は万太郎を指差し爆笑している


「ちょ!凛子ちゃんそんなに笑わないでよ!!」


「ひっ、ひ〜、だっだってデカイカボチャ(笑)」


「くそ〜!だからボクだって嫌だって言ったのに〜!キッドのヤツ〜」


「えっと、万太郎くんも可愛いよ?」


「え?ホント?アイミちゃん」


「うっ、うん」


「じゃあボクたまきちゃんたちにも見せてくるね!」


コロッと機嫌のなおった万太郎はウキウキとたまきたちのところへかけていった


「ぷぷ、カボチャがスキップしてる」


「凛子ちゃん笑いすぎだよ〜、」


「だって面白いんだもん。ねぇ、キッドは?」


「う〜ん、みんなに挨拶してまわってるみたい」


「そっか、私料理とってくるね」


「うん」


アイミは凛子と別れると『ふぅ』とため息をついた


広く大きなシャンデリアが輝いている会場の洋館はレジェンドさん(誰かは知らない)の持ち家らしい。アイミは壁にもたれ会場を見渡す。超人たちの色とりどりの仮装は迫力ときらびやかでここが本当に日本なのか夢の世界なのかと錯覚しそうになる。


アイミはキッドを目で探した


(あ!いた!)


黒いマントに身を包んだ吸血鬼姿のキッドは先ほど乾杯の音頭をとっていてセクシーな悪魔の衣装を纏った女性と楽しそうに談笑している


(スッゴいスタイルいいなぁ〜、しかも超美人…)


アイミはため息をつくとそっと会場の外に向かった


**************


「わぁ、庭もステキ〜」


外は少し肌寒かったけど丁寧に手入れされた薔薇園と噴水が月明かりに照らされている。アイミは『カツン』と靴音を鳴らし噴水に近付く。噴水の池には映しだされた自分のアリスの姿が見える


「なんだかホントに夢みたい…」


「不思議の国のアリス、迷子かい?」


噴水に映ったのは優しく微笑むキッドの姿


「キッド…」


「探したぜアリス」


「ごめ…」


アイミは小さな声で俯いた


さっきの会場で楽しげに話すキッドの姿が脳裏をよぎる。いつも不安になってしまう。自分はキッドに釣り合わないのではないかと…


「アイミ、Trick or Treat!」


「えっ!!」


突然のキッドの楽しげな声にアイミがキョトンとすると


「お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞって意味だよ」


キッドは子供のように笑った。その笑顔が無邪気でアイミの心臓はドキリと跳ねる


「えっと、えっと、」


アイミは慌ててポケットの中を探るとエプロンのポケットにキャンディーを見つけキッドに手渡した


「はいっ」


「Oh、イタズラ出来ると思ったのにな」


キッドは笑いながら肩をすくめキャンディーの包みを剥ぎ口に含む。アイミはそんなキッドのしぐさにもドキドキしてしまう


「じゃあキッドにもとりっくおあ、とりーと」


アイミはふわりとキッドに微笑む


「Oh、アイミにならイタズラされてもいいけどね」


キッドは耳元で囁くとアイミの頬はみるみる真っ赤になっていく


「あぁ、でもお菓子よりもっと甘いものがあるぜ」


「えっ?」


そう言うとキッドは身を屈ませアイミの唇にお菓子より甘い甘いキスをするのだった


end

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