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「私は絶対反対です!その試合方法は数年前に委員会でもあまりにも危険なため禁止になったはずです!!」


ユウリは宇宙超人委員長ハラボテマッスルに対して声をあらげ抗議した


「しかしなぁ〜ユウリくん、もう決定事項なんだよ。観客もよりスリリングな試合を期待してるんよ、特にこの試合は」


「だからって『コンクリートデスマッチ』なんて危険過ぎます!!超人だってただじゃすまされませんよ!」


「そこがまたいいんじゃないか」


委員長ハラボテマッスルはニヤリと口を歪め笑った


ユウリはその姿を見てもう何を言っても無駄だと悟る。委員長室のドアを力一杯乱暴に閉めて後にした


委員会は明日の試合なんて面白おかしく盛り上がればいいと思っている


例えブロッケンJr.がラーメンマンを殺してしまったとしても『試合中の不幸な事故』に過ぎないのだ


ユウリはやりきれない気持ちで委員会事務所を後にした


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賑わう街を1人歩きそっと頬に手を置く


ウォッチマンの血しぶきが飛んできたのを思いだしあの血生臭い感触が甦りそうで吐き気がしそうになる


ブロッケンJr.さん…


目の前にいた私のことなんて全く気付いていなかった


もう…彼を止められないの…?


絶望的な気持ちで街を歩いていると『ぉわーっ!!』という叫び声が聞こえ思わず声のする方へ視線を移す


「じゅ…10円足らんー!!あと10円!10円なのにー!くそーミートめ!アイツワシに牛丼を食べさせないためわざと財布に10円少なく入れたな!!」


見ると牛丼屋さんの店先で悲鳴をあげのたうちまわっている超人が1人


(あの人…)


日本代表超人


前回超人オリンピックチャンピオン


キン肉マン


以前、彼の超人リストを見たことがあるが全く本当に何一ついいことが書かれていなかった


ただ書かれていた一言は


『奇跡の逆転ファイター』


「なぁ!10円でいいんじゃ!恵んでくれんかのぉ」「10円必ず返すから貸してくれんか?」


キン肉マンは牛丼屋の前で道行く人に声をかけたり土下座をしたりしているが全く相手にされていないというかむしろ『バカ』とか『あっち行けこのブタ鼻野郎』とか言われてる…この人本当に前回チャンピオンだよね…?しかも日本代表なのに…


「うぉー!!なんてせちがない世の中なんだー!!」


ユウリは牛丼屋の前でひれ伏して泣いているキン肉マンの前で足をとめた

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