秘密のマーブルチョコ
めめへ
(set:片想い/クラスメート)



となりの席の司くんは、いつも理科の時間になると机に突っ伏す。


「あの…」

だから


そんなのわかりきったことだから、理科の教科書だけは忘れないように心がけてたのに…。


「…あの、司く……」


わたしのバカッ。
本当、なんてドジなの。

声をかけても寝たままの司くん。……無視?え、そうゆう人じゃないよね?



「司くん、お願い。教科書見せてっ」


さっきよりも少し声を高くすると、司くんは静かに視線だけわたしに移した。



う……やっぱり、かっこいい。

…なんて、絶対に秘密。


絶対にずっと秘密。だって自信がないんだもん。


「あー、ええよ。」

「あり…がと…う」


司くんに、好かれてる自信。


だって司くんはわたしにこんな感じだし。好かれてるわけない。

…じゃあ、司くんにとって、わたしって何だろう。



「い、一緒に見よ。」

「え?」


また寝ようとしてるのを止めると、司くんは少し困ったような表情をした。


「あ…えと、教えるし、ね?」

「めめより俺のができるやん」

「え!大丈夫だよ、理科得意」


…え!?今、めめって呼んだ?…いやまさか、ないないっ。あるわけないっ。


「…じゃあ、よろしくお願いします。めめ先生」

「…っ、はい…」


うわぁ。初めて呼ばれた。まさか呼ばれるなんて、思わなかった。

理科の教科書忘れてよかった。


「ここは?」

「こ、これはですね、この化学式を使ってですね……」

「はい正解。さすがや」

「あ、はい」


話しかけてよかった。
忘れて、話しかけて、そのおかげで、机をくっつけられた。一冊の教科書を一緒に見れた。

今日は、かなり奇跡。
いつもは、目が合ったりぶつかったり事務的な会話をしたりするだけで奇跡なのに。



「あの、司くんはどうしていつも理科の時間寝てるの??」

「寝とらんよ」

「うそ。見るといつも寝てるのに」

「俺のこといつも見とんの?」


え…っ。

あ、やだ、わたし、奇跡に調子のってベラベラと、何言ってんだろう。


「あの…ご、ごめんなさい」

「何が、」

「勝手に見て…」


でも、見たいの。
理科の時間は、わたしの楽しみなの。寝癖が見れたり、長いまつげが見れたり、幸せなの。


「…別に、ええよ。俺、知っとったし」

「えっ」

「あー腹へった」

「あっ!あるよ、チョコ!」

「うん、知ってて言うた。」

「えっ?」

「いつも持って、食っとるやん」


な、なんで知ってるの。そんな恥ずかしいの、なんで…?


「あの、はい」

「緑がええな」

「あ、どうぞ」

「ありがとう」


わたしが大好きなマーブルチョコを
わたしが大好きな色のチョコが、好きな人の口に入る。

それだけで、ドキドキする。


「いる?」

「へっ?」

「緑、いる?」

「え、うん!」


ん?なんか勢いでうんって言ったけど、いるってどうやって………ッ!?


「…な、」

え、何が起きた?


急に司くんが近づいてきて、教科書の中で、わたしたち…えぇっ、うそ…!


あ…うそじゃない。

口の中に広がるいつもの甘いチョコの味。ちょっと感触が違うのは、司くんのせい。半分溶けた、甘いマーブルチョコ。


「可愛くてしちゃったやん。…ごめん」

「キ、キス…」

「秘密やで?」

「司く…////」



教科書に隠れて、
マーブルチョコの味のキス。


…そのあとの照れた笑顔と“ごめん”は


「あの、あ、ありがとう…キス」

「…ええ誕生日プレゼントやろ」


わたしたちの、一生の秘密。




おわり

by宝石箱の中のサカナ




めめ、誕生日おめでとう(*^▽^*)
こんなことしか出来ないけど、一応プレゼントのつもりです。

めめと、KIMORIの遺作『宝石箱の中のサカナ』の司です。

ちょ、本当にごめん!本当は稚嘉の予定をめめがずっと好きでいてくれる司に急きょ変えたらもう……ただ方言を使うチャラい奴になってしまって…司じゃなくなった…。やっぱり司、忘れてた……ごめんね><

愛だけはたっぷりです!18歳おめでとう!めめ大好きーッ///


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