ケーキが甘い、その理由


好きなひとがいる。


「潤寿まだ来てないね。仕事かねー」
「…うん」
「真依の誕生日覚えてたし昨日までお祝いする気満々っぽかったけど、まぁ仕事じゃしかたないねぇ」
「そうだねー…」

しかたないって思えない自分が悲しい。潤寿はモデルの仕事を一生懸命がんばってるだけなのに。

まして…彼女でも、ないのに。

「そんな落ち込まないで?後で来るかもしれないし。はいこれ、あたしからプレゼントだよ〜」
「わぁ、ありがとう萌奈!」


昨日散々「明日真依の誕生日、ちょーお祝いするわ!」って言ってたから、忘れてるわけじゃないだろうし…

でももし今日がお仕事なら、潤寿のことだし、0時ぴったりにメールして来そうなのにそれもない。

やっぱり、忘れてるかな。
誕生日だし、潤寿に会いたかったんだけどな。


結局潤寿は最後まで学校に来なくて、泣きそうなあたしは気分を変えるために、体育館に向かった。


今日は部活がないから自主練でもしよ。何かに集中していた方が楽な気がする。


「……」

バスケットボールをリングに投げる。

それなのに、あたしは潤寿のことばかり考えてしまう。


―… 潤寿を好きになってから、毎日が楽しくて、毎日がくるしい。女の子慣れしてるからか、潤寿は思わせぶりだし…。

今日も、お祝いしてくれなかった。昨日から楽しみにしていたのに。こんなに誕生日が楽しみになったのは初めてだったのに。

べつに、プレゼントが欲しいわけじゃないんだよ。
ただ、潤寿が笑って、おめでとうって言ってくれさえすれば、あたしは世界一幸せになれるのに。


会いたいよ……潤寿………


「―― 真依ちゃん、17歳のおたんじょーびおめでとー!」

「っ、潤寿!」
「どこにいんのかわかんなくて探したんだけど」
「な、なん、学校休んだのになんでいるの!?」


き、急に現れないでよぉ…心臓にわるいじゃん…。

慌てて乱れた髪を直すあたしに、悪びれる様子もない潤寿が向き合う。


「真依ちゃんの誕生日、祝うから来たんだよ。はいこれ」
「…ケーキ? これホールまるごと?」
「そ。それ作ってたら学校終わってた」
「えぇっ…潤寿が作ったの?」
「うん。だから今食べてみて」

今、ここで!?
満面の笑みでフォークとケーキ箱を渡してくるから、そう聞くにも聞けない状況。

「コートの中で食べたらだめだから、ひな壇の上行こ」

あたしはそっとケーキ箱とフォークを受け取って、壇の上に座った。
そのとなりに潤寿も座る。

さっきよりも近づいた距離にドキドキしながら、ケーキ箱を開けた。


「わぁ、すごい!ショートケーキだね!すごい!」
「味はわかんないよ」
「食べていい?」
「食わせてやろーか?」
「いいいいいです…!」

なんてことを言うんだ…!
潤寿の視線から逃げるように、ケーキをフォークの先ですくう。

口に入れた瞬間、甘すぎるくらいの生クリームとやわらかいスポンジを感じた。

「お、おいしい!それにお店で売ってるやつよりも全然甘い」
「真依ちゃん甘いの好きだろ」
「うん、すき!」
「……なんで甘いんだと思う?」
「え?」

砂糖のせいじゃないの?

二口目を口に運ぼうとしたら、フォークを持つ手に潤寿の手が重なった。


「潤寿?―…わ!!」

その手は引っ張られて、食べようと思っていた二口目は潤寿の一口目に変わってしまった。

「っ、」

か……か……か、間接ちゅーじゃんよ!何すんの!

「ははっ。間接キスだけで赤くなってたら、本番どーなるんだよ」
「なっ」
「ケーキが甘い理由、教えてやるよ」

思わせぶりだ。
小悪魔!ばか!

そう思いながらも、いつになく真剣な目をした潤寿から目が離せない。何も言葉が出てこない。


このケーキが甘い理由は、砂糖のせいじゃないらしい。

潤寿は何を隠し味に使ったんだろう。


「真依ちゃんへの愛情、たくさん入れたから」
「…え、それって…」

まさか、思わせぶりとかじゃなかったの?うそ…!


「真依ちゃんのこれからの誕生日もこのケーキなしじゃいられねーくらい入れたから、ずっと一緒にいような」

「一緒にいたい!う、うれしいっ!」

「俺もー」


生クリームよりもシロップよりも甘くて、スポンジよりもやわらかく優しくて、苺のように甘酸っぱくて中毒性たっぷりな

潤寿の愛情、いただきます。


END
* * * * * *
byジェリービーンズ


まいちゃん、お誕生日おめでとう(*^▽^*)遅くなって本当に本当にごめんなさい(´;ω;`)
こんなことしか出来ないけど、一応プレゼントのつもりです。

まいちゃんと、『ジェリビン』の潤寿です。潤寿を一番好きだと言ってくれたのはまいちゃんしかいませんー!ありがとう!
なのに低クオリティでごめんよ…(´ω`)

愛だけは潤寿と共にたっぷりこめてます◎

生まれてきてくれて、ありがとう。素敵なまいちゃんにはきっと、とても濃い17歳の日々を過ごせると思うので、花のセブンティーンを楽しんでください(^∀^*)


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