海のメロディー
夢雨ちゃへ
(set:カレカノ)



甘ったるい恋、切なくて苦しい恋、明るく楽しい恋

色んなカタチがあるけど、あたしたちは、きっとどれにも当てはまらないよね。



「夢雨」

聞き慣れた声に振り向けば、見慣れた顔ぎそこにある。それはいつも同じだけど、だからこそ安心する。

「キーチ。なに?」

どうせ『お腹空いたーめし屋行こー』とかだろうな。

って思ってたのに


「今から海行くぞ」
「え?」

まさか、いきなり手を引かれることになるなんて考えてなかった。


貯金全部使い切って買ったばかりの赤いバイクに乗せられて、何故か海沿いを走る。

このバイクに乗ったのは3回目。

やっぱり、キーチに赤は似合わないと思った。初めてのときも2回目のときも本人に言ったけど、キーチは『目立つほうがいーんだよ』と笑うだけだったから、もう言わない。

キーチが気に入ってるならそれでいい。


腰に手をまわすのも、背中に頭をあずけるのも最初からできたけど、この温かさと背中の広さは、今も慣れなくて胸がギュッとなる。


風が気持ちいい。穏やかな波の音が心地いい。
バイクって楽しいな。

楽しいバイクを降りて浜辺を歩くと、足を砂にとられてうまく歩けない。
さっきまで近かったキーチは先に行ってしまう。

せめて海に行くと聞いてたらヒールのサンダルで来なかったのにな。

……こんなとき、あたしは切なくなる。いつか離れちゃうんじゃないかと不安になる。


だけど呼び止められなくて


「夢雨?…歩くの下手だよな」

キーチがそう言って手を差しのべてくれるのを待つだけ。


「砂がいけないんだよ、砂が!あと気づくの遅い!」
「ゴメンゴメン」

けらけら笑いながら謝られてもさ。…でもこういうとき、あたしは楽しくなる。本気で怒ってない自分と本気で謝ってないキーチにホッとする。

さっきまで憂鬱に思っていた砂浜にも胸がはずむ。


「ねぇキーチ、どうして海に来たの?」
「前に夢雨が来たいって言ってたから」

…ま、前って、かなり前なんですけど。覚えてたんだ、あんな小さな言葉を。

「初めてふたりで来たね」


9月。暑さは残ってるけど、夕方の海の水は冷たかった。


「…ぎゃ!!」
「ぶ!夢雨びっくりして変顔になってんよっ」
「キーチィ!」


こいつ水かけやがった。

やり返すと、また返ってくる。まるで波のようで、おもしろい。


「…ぎゃっ」
「夢雨っ!」

足が滑って、危ないと思ったときには、すでにキーチの腕があたしを支えていた。


「夢中になりすぎ」
「…だ…だってキーチが」
「転んだら濡れて、服白いんだから透けんよ?」
「んな!」

意地悪な言葉が上から降ってくる。それはこのあたたかい腕とミスマッチのようで、そうじゃない。そんなキーチが、すきなんだ。


足が水に浸かった状態で、気がつけば、抱きしめ合っていた。

「…キーチ、どうして海に連れて来てくれたの」

どこか切なくて、甘い。
キーチの髪を撫でたけど、背伸びをしなきゃ届かないから、だから切なくなるのかもしれないと思った。

だけど


「夢雨の18の誕生日だから」


甘いメロディーが聴こえる。波にのって、キーチの声が。

……あれ、でも、ちょっと。


「もしかしてこれが誕生日プレゼント…?」
「や…えっ、と、バイクのせいでね!ちょっとマネーが逃げちゃっ」
「ばかあああ!きらいっ!」

「え、オレはすきですよ?」

「あ…、あたしだって!」

…ま、愛情がこもってるのはわかるから、すてきな誕生日プレゼントだって

思ってあげなくもないけど?


おわり

byストロング ストロベリー





夢雨ちゃ、お誕生日おめでとう(*^▽^)/
こんなことしか出来ないけど、一応プレゼントのつもりです。

夢雨ちゃと、『ストスト』のキーチです。聞いてないけどキーチでいいだろ?夢雨ちゃはキーチ好きだろ?……キーチです!(たぶん!)

キーチの性格が忘れてしまってて名前だけみたいな感じだし、えろくするとか言っておいて、思いつかなかったからって、ちゅうもさせずにごめんねえぇぇ…!

愛だけはキーチと共にたっぷりこめてます☆

生まれてきてくれて、ありがとう。いい18歳を過ごしてください!!


「#甘甘」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -