異性ライバル


「千笑、ここのフレーズどうすればいい?今のままでいい?」

時々この余裕な笑みが、むしょーにイヤになることがある。

できれば見たくない。

…特に今は。


「あたし今は音楽作る気分じゃない」
「…機嫌悪いけど何かあったんだ?」
「サスケのせいだよ、バーカ」

この無自覚がまた腹立つ。鈍感でバカで、なぜか余裕で、あたしが怒ってても笑う。

なのにきらいじゃない。むしろ好きだ。でも時々、きらいになれたら楽なのにって思う。

……うらやましい。世界でいちばん、この男が。

あいつに好かれるこの男が。


「サスケ、紅とうまくいってるの?別れる予定とかないよね?」
「ふはっ!ねぇよ!オレはあいつを離したくねぇ」
「なんか生々しい…。」


サスケが、あたしの大事な紅を好きだからきらいになれないってわけでもないし

1度付き合ったことがあるからきらいになれないってゆうのもちがう。


「サスケと紅はカレカノじゃん。……サスケと陣はなんなんだろーね。」

そして、あたしと陣はなんなんだろう。

「……ともだち、」
「陣はサスケを好きなのに?」
「千笑…」
「いいな…サスケは」

あたしはどうしても、どうやっても陣に好きだと思われないんだ。ずっとそうだった。だからきっとこれからもずっとだ。



『…お前、もうオレのこと好きなのやめろよ……』


さっき陣に言われた言葉を頭の中でリピートする。したくもないのに、してしまう。

言い聞かせるように。
そうだよ。やめちゃえよって。

だけど何度やっても無理なの。やめられない。終わり方がわからない。


抜け出せない気持ちを、陣だってよく知ってるくせに、どうしてそんなことを言うんだろう。


「なぁ…じゃあオレと千笑はなんなの?」
「ライバル?」
「ふはっ……」

無理して笑うときまで、その笑い方。あたしの、異性のライバル。

変なの………。泣きたくなるくらい変だ。


「…千笑……」
「う…ふぇっ……」

泣いてしまった。よりによってライバルの前で。何処よりも響く音楽室で。

さいあく……――


「何泣いてんだよ!」
「……じん……!?」

大きな声の方を見ると、怒った顔した陣がいた。

「泣くなよ!たかがオレにフラれたくらいで!」
「っ、泣いたらだめなの!?好きなやつにフラれて悲しくないひとなんかいないよ!」

陣だって悲しんだじゃん…。あたし、それを近くで見てたから知ってるよ。

知っても好きなのをやめられないんじゃ、どうすることも、できないんだよ…?


「泣くなよ…。まだケリもついてねぇのに……なぐさめたくなるだろ」
「…っえ、陣?」

どういう意味…?

「ケリならついてんじゃん、陣。その気持ち、大事にしろよ。」
「…サスケ。ありがとう」

なに…わかんないのに、あたしたちを置いて音楽室を出ていくサスケ。

「え…陣、なに……」
「やっとサスケと紅の幸せ願えるよ。………サスケより大事なやつ、見つけたから。」

はじめて、紅って呼んだのを聞いた。
幸せを願えるって言った。

「大事なやつ…って…え、うそ!?」

この状況で考えられるのって…。…あたしの勘違いじゃなければいい。


「待たせて、ごめん。だけどさ、待っててくれてありがとな。」


陣のその声は、

力強い腕の中
耳元で聴こえた。

おわり

by夜明けのむこう




今回の拍手お礼は『夜明けのむこう』の3人組です。中学卒業間近くらいですかね。やっと、千笑を幸せにしてあげることができました!

拍手お礼でやることねぇだろーて感じですがなんと!以前やったアンケートで、サスケにも千笑にも陣にも投票されていたのです!

これは書かなきゃだろwwと思い、この場をお借りしました。

本編読んでない方すみません!意味わからない内容ですよね…!


次回は10月上旬に更新予定です。ネタはまだ考えていません!←
拍手ありがとうございました(*^^*)


120920〜121021

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