異性間友情


「稚嘉(ちか)……どうしよう……」


図書館でひとり勉強していると、生気を失った梅(うめ)がよろよろと近づいてきた。

泣くのを我慢したような、口をへの字に曲げた、変な顔。思わず吹き出しそうになったけど、普通ではない梅の様子にちゃんと心配しているのも確かだ。


「なんだよ。こんな所まで来て」

「あ…やっぱり迷惑だった?勉強中だよね、ごめん」

「べつにいーよ」


今さら。
それにそんな顔してるくらいなんだから何か困ったことがあったんだ。

それなのになんでいつも梅は、いつも自分より他人優先なんだろう。甘えとけってたまに言いたくなる。


「で?空(くう)となんかあった?」

空とは梅の彼氏。
それよりも先に、俺の幼なじみで親友。

梅よりも空のことはわかってるつもりだ。だから梅も、俺を頼る。


「空ってどうして、あんなにモテモテなの…?」


おまえが言うなよ、美女コン1位。

「空って!なんで!あんなに!誰にでもやさしいの!」

梅が嫉妬深いということは、空と付き合い始めてからすぐにわかった。空も意地悪いから、なぁ。


梅はやさしい空を好きになったくせに、最近いやだという。わがままなやつ。

「彼女はお前。空は梅しか見えてねーよ」

空は口下手で、あまり言わないんだろう。だから梅は不安がる。


それでも別れないのは、お互いが想い合ってる証拠。


「うらやましいくらいだよ。だからそんな、騒ぐな。空を好きな女に対して失礼」

「うぅ…」

「………泣くなら空のとこに行って泣け。」

「…うん」


ったく。世話がやける。

心配ばかりかける、女友達だ。


「…稚嘉…いつもありがとう」

「ほんとだよ」

「でもわたし、友達1号の恋の応援はたっぷりしてるから!」

「うるせーよ」


イヤミか。

「告白しないのー?」

したくてもできねーんだよまだ!あいつ…実姫(みき)はまだ、お前の彼氏を想ってんだよ。


できれば俺も、お前が俺に相談するみたいに、俺もお前に話したいってたまに思う。

けど、実姫はお前の大切な友達だから、お前はまた悩むから言わない。

それに――――


「稚嘉助けて!お願いします!勉強教えてください…!」


実姫は実姫で、恋とはちがう形だけど、俺を頼ってくれるから。

名前も何も知られてなかったあの頃の俺からしてみれば、今は上出来なんだよ。


だから、焦らない。
逃げもしない。


いつか…絶対に。



「梅も教えてもらいに来たの?もうすぐテストだもんね〜」

「え?……っああ!!」

「忘れんなよ梅…。実姫、どこ?」


それに今はまだ、友達って関係も悪くないって思うんだ。

きっとそれは、初めてできた“女友達”のおかげ…かもな。

おわり

byストロング ストロベリー




今回もお礼短編は『ストロングストロベリー』で、稚嘉と梅にしてみました。この二人はアンケートで1位コンビです(笑)

本編から半年ほど経って、稚嘉や空は高校卒業間近。梅や実姫はそのまま高校1年生の頃の様子です(一応)

稚嘉と梅さんの仲は相変わらず。稚嘉と実姫は少し仲良くなってます。


前回につづき本編を読んでない方には「なんだよこれ」なお話になってしまい申し訳ありませんでした!

それでは最後に、はくしゅありがとうございました☆

次回の拍手お礼は『夜明けのむこう』の予定です。


120819〜120920

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