おとなりさんに恋
あきちゃへ
(set:年上/お隣り住み)



 **

「今日隣に引っ越してきた森山夕太や。よろしくな。」

方言なんて初めて聞いた。柔らかくて、お隣りさんの笑顔に、よく似合っていた。

 **


あぁ…しまったー。家鍵忘れたー。

突然の夕立で濡れてるうえ、鍵まで忘れて、親は夜まで仕事とか…厄日かっ。

「どうしよ…」

家帰って速攻で風呂入りたかったのに、本当にサイアク。親も、なんで今日にかぎって仕事なの?てゆーか1番悪いのはこの雨だ!

今日は晴れのはずだったのに…


「あれー、お隣りの桜宮さんやん。どうしよったん」

あ。

「森山さん…」
「濡れとるやん」


そうゆう森山さんも雨で濡れてる。傘はない。


「か、鍵、忘れちゃって」
「まじで?あーあかん。濡れとし、うち上がる?」
「え!い、い、いいです、平気ですお構いなくっ」
「あかんて。風邪ひくやん」

あーもう。
そんな優しく笑わないでくださいよ!甘えたくなるじゃないですか!

「だ、大丈夫です、わたし風邪ひかないんで!全然っ」
「や、でもなぁ…。」
「それより森山さんこそ風邪ひいちゃうんで、家入ってください」
「うーん…じゃあ……」

そういって渋々家に入ってゆく森山さんの背中を、消えるまで見つづけた。


いいひとだなぁ、本当に。

しばらく立ちすくんで、それから家のドアに寄り添うようにしゃがみ込んだ。

寒い……


「これで拭き?」
「わぁっ」

俯いていた頭にふさっと被せられた、柔らかい何か。


顔を上げると、柔らかく笑う森山さんがいて、目がはなせなくなった。


「大丈夫やか?」

そう言って、わたしに被せたタオルで、わたしの髪をフワフワと拭きはじめた。

「…っ、」

撫でるような手つきに、なんだか泣いてしまいそうになった。

「綺麗な髪やな」
「も、森山さ…」
「夕太でええよ。他の奴らにもそう呼ばれとるから」
「ゆ、た…?」
「うん。そう呼んでくれたらうれしい」


柔らかい方言も、優しい笑顔も、通る声も、
本当ははじめから、気になっていた。

話す時は緊張したし、朝会えた時はうれしかった。


「夕太も…濡れてる…」

そう呟くと夕太の手が止まった。その隙に頭の上のタオルを取って、夕太の頭にのせた。


しゃがんでくれていてよかった。

やっと……やっと、手が届いた。


「ゆ、夕太も、あきって呼んでくれたら、うれしいです…」


言いながら、はずかしくて、ひたすら夕太の髪を拭いた。

わたしの髪を拭いた後だったから、タオルは少し湿ってけど、とても甘い香りがした。


「…あきちゃん、かわええなぁ」
「っ!」


お隣りさん。
…から、一歩も二歩も三歩も、何歩も進んで…跳んで、翔けて


方言のカレに、恋、しちゃいました。



おわり

byうたかた




あきちゃん……1ヶ月以上遅れたKIMORIはコレを誕生日プレゼントだとはとても言えないよ…ごめんね…!

愛だよ愛!あきちゃんなら受け止めてくれるよ、ね…?(お前www

大好きなあきちゃんとユタです(^ω^)ユタのフルネーム初出しですな(笑)

いつもありがとう。誕生日プレゼントというには遅すぎるし申し訳ないから、KIMORIからあきちゃんに毎日のお礼です。あきちゃんあいしてる…(逝★け)

これからもよろしくね*


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