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※ 1ページ目…祐悠
 2ページ目…赤黒




朝起きて一番に目にするのは、同じ顔をした君。

君は、毎朝俺のことを起こしてくれる。時間だよ、と優しく響く声は、何度聞いても心地好い。本当は声を掛けられる前から起きているけど、わざとその言葉を知らんぷり。そうすれば、君は俺を上から覗き込み、早く起きろと体を揺する。そこでようやく目を開き、素早く君の腕を掴んでベッドの中へとご招待。多少柵に引っ掛かりはするものの、君の身体は引っ張る力にしたがって、俺の隣に転がった。

「いった……。祐希、なにするの」
「んー?ゆーたが欲しかっただけ」
「意味わからないよ」

はぁ、と呆れたようにため息をつく悠太は、身体を起こそうとするけど、俺はそれを許さない。しっかりと彼の身体を抱き締め、起きられないようにしてやった。悠太の体温が伝わってきて、なんだかまた眠くなる。いつだって、悠太は俺を安心させてくれるんだ。

「ねぇ、遅刻する。離して」
「あと5分」
「いい加減にしな…さいっ」

くるりと身体を反転させ、俺と向き合った悠太は、突然最後の言葉と同時に俺の身体を擽り始めた。普段の俺を知る人は、人違いと思うのではないかと思うほどに、身を捩らせて笑う。悠太ったら、容赦ないんだもん。

「ほら、起きる?」
「お、起きっ、起きる!起きる、からっ」

笑い声の合間に詰まるようにそう告げれば、ようやく悠太の手から解放された。俺が呼吸を整えている間に、悠太はベッドから出て準備の続きを始める。そんな彼を眺めながら、俺はくすりと笑みをこぼすのだった。

だって、悠太は俺がこうすることをわかってて、わざわざ制服に着替える前に俺を起こすのだから。大概、悠太も俺のこと好きだよね。





起床

(大好きな君との)(朝の戯れ)




 
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