The symphony of black wind
- 暗黒の剣舞士(1/11) -



───オサ山道























「きゃあぁぁあぁああぁっ!?」

「どぅえぇぇえぇええぇっ!?」

『ミライ〜〜〜〜〜〜〜!?』


『………………はあ』



落ちたましたよ。えぇ、落ちましたとも。落とし穴(?)に。それも……間抜けな暗殺者と一緒に。






これなんて厄日?

By.『ミライ、心の語りより』






そう、時は数分前に遡る……。






――――
―――
――



イズールドへと向かっていたミライ達はその途中にあるオサ山道に来ていた。ロイドを初めとする子供組は元気良く歌を歌い、その後ろからリフィルが三人にはしゃぎすぎだと注意をし、クラトスが無言で緩やかな山道を歩いていた。ミライはその更に後ろからついて来ている、のだが……



「恋………恋なぁ……うーん」



先日、アリアに言われた事に頭を悩ませていた。



「確かに大切っちゃあそうだけどよー。…………やっぱ、恋…………なのか? でもなぁ……」



ここだけの話。ミライは"あの人"とやらに好意を持っていた。勿論、そう言う意味でのモノだ。ならば恋だろと言いたくなるのだが、かなり前にその"あの人"と言うのに思いを告げた事がある。

しかし彼の人生史上初の告白も、僅か2秒で玉砕したのだった。



(あの時に言われた言葉がかなり来たんだよなー。今でも思い出すだけで胸が痛い……)



と、ミライはひっそりと肩を落とす。それ以後は"あの人"にその時程の想いは抱かなくなった……筈なのだが、やはり何だかんだで気にはなるようだった。アリアの好奇心からの一言でこんなにも悩むの羽目になるのだから、そう言う事なのだろうとほんの少しだけ自覚した。

正直、それが恋と言い切れるのかはわからない。ただ一つ、彼が思うのは……そんな自分が女々しくて嫌だと言う事だった。



(綺麗に全て忘れられれば一番楽なんだろうけどな。でも、)



状況上絶対無理。何故ならば………



「はぁ………」

「どうかしたのか?」

「ん? どぶっ!?」



思わず溜め息を吐いたミライを気にしたクラトスが急に立ち止まり声をかけてきた。彼が直ぐ目の前を歩いていたのと、考え事に夢中になっていたミライは驚くのと同時にクラトスに激突した。



「大丈夫か?」

「いっつー……悪い、大丈夫だ」



ぶつけた顔を擦りながら顔を上げると、クラトスだけではなくロイド達も立ち止まっていた。そしてその視線は一本のレバーとその直ぐ側にある穴に向けられている。



「先生、これ何だ?」

「落とし穴かな〜?」



ロイドとコレットがレバーを弄って穴を開けたり塞いだりしながら言った。するとリフィルが「落とし穴ではなくてよ」と言って説明し出した。



「ここは昔坑道があったの。その名残で通路が残っているみたいね」

『へぇー』



説明を聞いた子供組みは声を揃えて言った。



(300円……)



それにミライはつい昔テレビで見たとある番組を思い出していた。



「とにかく、入り口のスイッチには気を付けなさい」

「だってよ、コレット」

「うん!」



リフィルの注意にロイドがコレットを向いて言うと、彼女は元気良く頷いた。それにジーニアスが呆れ気味に言う。



「何でコレットに言うのさ」

「そりゃあジーニアス。コレットだからだよ」

「コレットだからなー」



ロイドの意味深な言葉にミライもうんうんと頷いて同意した。コレットの事だから、放っておけば絶対に何かやらかすだろう。それに気付いていないジーニアスは、



「意味わかんないよ」



と、疲れたように肩を落としたのだった。


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