The symphony of black wind
- 悲しき旅立ち(2/3) -


「……つーことで、俺もお前達について行く」

「「いや、何がつーことで何だかさっぱりわかんないだけど」」



ロイドとジーニアスのツッコミが華麗に決まった。



「そうだロイド、ダイクのおっちゃんからの預かり物だ」

「無視かよ!」



とかツッコミつつもロイドはミライから預かり物の手紙を受け取って読んだ。



「親父……」

「何て書いてあったの?」

「さあな。とにかく、お前達のことはリフィルとおっちゃんから任されてるんだ。何と言おうとついて行くからな。あとノイシュも」



勿論反対は許さん、と言うとロイドとジーニアスは苦笑して頷いた。

こうして何とも言えない三人の旅は始まったのだった。






*◇*◇*◇*◇*◇*◇*◇







「……………」

「「…………………プッ」」

「笑うな!」



砂漠の花と呼ばれる町トリエットに来たミライ達は、ディザイアンが貼って行った指名手配書を見て吹き出していた。……約一名だけものすごく不機嫌そうだったが。



「何て言うか……傑作」

「でも大体のイメージは掴んでるよね」

「どこがだよ! 俺はもっとカッコいいぞ!!」



うんうんと頷き合う二人にロイドは憤慨する。



「しかしまぁ、ディザイアンってのは頭が良くて中々の技術を持ってる割には……手作業がてんで駄目なんだな。オマケにセンスもない」



それはこの指名手配書の似顔絵を見ればよくわかった。あえてハーフエルフと言わなかったのは、ハーフエルフにもすごく器用な人がいる事を知っているからだ。



「くそー。書き直しちゃおうかな」

「やめとけよロイド。それで見付かったら大変だぞ」



いつの間にかペンを握っていたロイドに笑いながらも止めた。ジーニアスは「どこから出したの!?」なんてツッコミを入れていたが、本当にどこから出したのだろうか。



「とにかく、俺はこれからに供えて買い物に行って来るから、二人はコレット達の情報でも集めてくれ」

「わかったよ」

「任せとけ!」



そう言って頷き合い、ミライは二人と別れた。






*◇*◇*◇*◇*◇*◇*◇







「アップルグミ、オレンジグミ、パナシーアボトルにライフボトル。そんで料理の材料も買ったっと」



一先ず料理の材料や薬等を買う為、ミライは商店の立ち並ぶ市場に来ていた。熱い砂漠の中でも活気の良いこの場所の名物を二人に内緒で味わいながら歩いていると声を掛けられた。



「兄ちゃんは旅人かい?」



振り返ると小太りで人の良さそうなおじさんが自分の店からこちらを見ていた。



「まぁね。そこは何屋だ?」



見た所武器やら防具やらアクセサリーがあるから武器屋のような気もするが、その武器や防具はどれも分解してあり、売り物ではないみたいだった。



「この店はな、武器などをカスタマイズする店なんだ」

「ヘェ」

「良かったら何かカスタマイズしていくかい? 今なら特別大サービス、無料でやってやるよ」

「本当か? なら……コレを頼むよ」



そう言ってミライが渡したのは使い古した弓だった。ミライは狩りをしていた為、弓を使っていた。元の世界にいた時も学校の部活で弓道部に入っていたのもあり、弓には愛着があるのだ。だけど持ってきたは良いが、所詮狩り用の弓であってそんなに威力はない。だからこれを機にカスタマイズするのも悪くはないだろう。

おじさんは弓を受け取り「すぐに終わるからその辺でブラブラしてると良いよ」と笑い、ミライも頷いてロイド達を探しに行った。


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