A requiem to give to you
- 城砦都市(2/13) -



「……………」



ルーク達は目の前の光景に困惑していた。



「なぁ」



真っ先に口を開いたルークは隣でニコニコしているタリスに問い掛けた。



「ありゃ何だ?」

「さあ?」



私にもわからないわ、と言われ仕方なくルークはガイを向くと困ったように首を振られた。次いでジェイド、イオン、最後にティアを見るがやはり皆同じ反応だ。

ルーク達は城砦都市と呼ばれるセントビナーに来ていた。そこは別名「花の街」とも呼ばれ、その名の通り春にはソイルの樹を中心にたくさんの草花の咲き乱れる美しい街だった。そんな街で今、ものすごーく奇妙な事が起こっていた。



『♪ケロッケロッケロッ! いざ、進め〜! 地球侵略せ〜よ〜!』

『♪ケッケロッケロッ! 傘持って〜、出掛けた日には〜いつも晴れッ!』











………………。












「な……なぁ、タリス。怖いからその顔やめろよ」

「あら、何が怖いと言うのよ。普通でしょう?」



どこがだよっ、とルークは内心突っ込んだ。気のせいか、イヤな汗まで掻き始めている。それもその筈、ルーク達は街の入口で待ち伏せしている神託の盾兵に見つからないよう街に入る為、それはそれは面倒な方法を使って入ってきた。そして漸く街に入れたと思ったらコレ。街の子供達が自分達にとって見覚えのありすぎるとある少年を先頭に大きな声で歌いながら行進しているのだから。



「ぜんたーい、目を食いしばれーっ☆」



と、言って建物の上にまた誰か現れた。それは誰だかわからない。オレンジ色の頭をしており、変なサングラスをかけ、変な格好をしたの少女のようだった。少女の言葉と同時に少年は口に加えるホイッスルを吹きながらその手に持つ大きな指揮棒を振った。



『♪嫌われたいのに愛される〜』









プチッ










「ケ●ロ軍曹よ、永遠n………ぐはあっ!?」



あ、と一同が声を揃えた時には既にとある少年……ヒースはタリスの持つ鞘入りの剣にぶん殴られて吹き飛んでいた。辺りは一気にシーンと静まり返る……。



「……って、いつの間に俺の剣取ったんだよ!?」



気が付けばルークの腰にはいつもある剣がなくなっていた。そんなルークの突っ込みをスルーしつつ、タリスは満面の笑みで目を回して倒れたヒースを見下ろしていたのだった。






そして……






「………で、何の仕打ちコレ」



ヒースはタリス(と面白がって参加したジェイド)にグルグル巻きにされ宿屋へと運ばれた。タリスは弓を構えながら言った。



「ホホホ、何か言い残す事はないかしらヒース?」

「え、いきなりの死刑宣告っすかお嬢様」

「私達が今までどれだけの苦労をしてきたかと言うのに……呑気なものよねぇ……………ムカつくから万死に値します」

「うわー……CYO−理不尽☆」



僕だって被害者なのに、とボソリと呟く言葉など聞こえず怒り心頭なタリス嬢は笑顔で射殺せんとした…………が、後一歩の所でルークが彼女を羽交い締めにした事によってそれは免れたのだった。



「ま、待てよタリス! 久し振りにヒースに会えたんだぜ!? 少し落ち着けよ!」

「あらルーク。私達がバチカルを離れてからあんな目やそんな目に遭っていたと言うのに、この人ったら遊んでいたのよ? 許せると思う?」



それに今度はガイが助け船を出した。



「ま、まぁタリス。ヒースだって何か訳があるんだろ。そう怒らないでやれよ」



それに、と続けるとガイは途端に真面目な顔になった。



「どうして君がここにいるのかが気になるしさ。少し話を聞かせてくれよ」


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