The symphony of black wind
- 永遠の……(2/2) -


旧トリエット跡。コレットの儀式も無事終わり、アリアを含めた一行は遺跡の入口付近で夜営をする事となった。



「ねぇねぇアリア! 君の使うその"譜術"って術は誰でも使えるの?」

「そうですね……誰でも、と言う訳ではないのですが。わたしのいた世界で主に使われる音素と言うのは、マナに比べてとても扱いやすいのです。だからエルフの血を引かない人間でも、譜術を使える人がとても多いです」

「そうなんだぁ。じゃあ、ロイドやコレットもその音素って言うのがあれば出来るかも知れないんだね」

「はい、可能性はあると思います」



最も、この世界に音素はないので、マナを分解して意図的に作るしかないのですが。そう言って苦笑するアリアにジーニアスも「まぁそうだよね」と返す。魔術を使うジーニアスやリフィルはアリアの使う譜術や譜歌と言う物に興味があるらしく、先程からよく質問を繰り返していた。特にジーニアスはアリアと歳が近い為か、とても親しげだった。



「アリアってすっごく大人っぽいよね」

「そうですか?」



ジーニアスの言葉に照れながらもそう返すアリアにコレット達も頷く。



「そうだよ〜。とても落ち着いてるし、強いし、転ばないし、かっこいいなって思うよ」

「転ぶのはコレットだけだろー」



と、ロイドの言葉に本人含めた全員に笑い声が上がった。



「ふふ、コレットさんは面白いですね。でも、わたしはそれ程大人ではないですよ」



連れと一緒に旅していると、未だに年の離れた兄妹と間違われるくらいですから。



「そう言えばアリアって何歳なのかしら?」



ふと、今まで黙って子供達の話を聞いていたリフィルが問い掛けると、アリアは途端に悪戯っ子のような笑みを浮かべると



「永遠の16歳、ですわv」



と、答えた。



「ヘェ、アリアってコレットと同い年だったんだなぁ」

「そうだったんだ〜お揃いだね〜」
















…………………。
















『16歳!!?』



全員の声が見事に木霊した。



「じゅ、じゅーろくって……」



自分より年が上だった事にジーニアスのショックは半端ないようだった。それにアリアは苦笑した。



「驚きますよね、やっぱり」

「あ、いや……ごめん。気分悪いよね」



慌てて謝るジーニアスにアリアは大丈夫ですよ、と笑った。



「これも一つの武器となりますから」

「そ、そう言うものなの?」

「ええ。それに異世界人は年を取らないので」



その言葉に更なる驚きの声が上がった。



「そうなのか!?」

「はい。身体の作りが違う、と言うのもそうなのですが、そもそも世界同士の時間の流れの問題とか色々な要因があるらしいのです。ですからわたしはこの世界にいる間は年を取る事はありません」

「ますます興味深いな。アリア、もう少しその辺の話を詳しく教えてくれ!」



いつの間にか遺跡モードとなったリフィルに詰め寄られ、アリアは頷いた。ジーニアスとロイドが危険を感じて離れていくのを見たのは、辺りの見張りに徹していたミライとクラトスだけだった………のだが。



「ミライ、顔色が悪いが大丈夫か?」

「あー……うん、大丈夫……だよ、うん」



ミライはアリアから聞いた話を思い出していた。

アリアは旅をして五年ほどだと言っていた。彼女は16歳。しかしそれは今年で、なのか。旅を始めた時に、なのかはわからない。見た目からして前者だとは思うが何分、先程の「永遠の」と言うのが引っ掛かる。これでもしも、本当にもしもだが、後者なのだとしたら………



16+5(+α?)



となる。つまり、



(俺より年上…………?)



嘘だあああ、と一人で頭を抱えて小さく悲鳴を上げるミライにクラトスは終始対処に困っていたと言う。













END?
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