■  悪魔と睡魔

あく→スヤ前提。睡あく。睡魔師匠が荒療治。



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魔王城の良心と呼ばれ始めてからどのくらいの歳月が過ぎただろうか。始めの頃は気恥ずかしさに耳の端が熱くなることもあったが、今では感謝と敬意、そしてそれっぽい雰囲気を纏いながら笑顔でもって返事ができるようになった。

仕事は忙しいがやりがいがある。
私生活もそれなりに楽しんでいる。
特別なイベントなんて起きはしないけれど、毎日淡々と物事を片付けてまた明日を迎えるのは性に合っているので満足している。穏やかな一日を過ごせる事こそが人生の一番の幸せであると悟るくらいには歳を重ねた。

重ねた……。つもりだった。
そう、自分的には確かにそう思っていた。
何百年も生きて、生きた分、様々な経験をしてきた自信がある。まぁ、……うん。ある一部分を除いてはだけれども。

その一部分とは縁が無かった。あえてこちらから縁を持つ必要もないものだった。自分が悪魔であるが故に、手を出さないよう自制していた面もあるが魔王城に入ってからは更に無縁となってしまった。

困ることもないのでさして気にとめていなかった。そのツケが何倍にも膨れ上がって免疫のない病となるなど露程にも思っていなかったし、そのせいでこんなことになるなんて考えにも及ばなかった。

(──若い内に、もっと遊んでおくと良かっただろうか……?)

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