「それが貴女の願いですか?」

「それが貴女の望みですか?」


仮面を付けた双子は目の前で残虐な望みに震える女性に向かって抑揚を欠いた声で尋ねた。


「………はい。」


女性は間を置いて答える。『もうすぐ願いが叶う』ただそれだけを思って――


「では契約を行います。」

「では代償を頂きます。」


双子は同時に言う。音も立てずに女性の両脇に立つと、それぞれの手を乗せた。


「代……償?」

「はい。」

「彼と彼女の分だけ」

「「貴女の幸せを頂きます。」」


双子は交互に話す。鏡に反響するように――鉄のような、しかし甘い残酷な言葉は響き合う。


「貴女の幸せは何ですか?」

「願いは幸せさえも犠牲に出来ますか?」


女性は黙り込む。双子の問いにどう答えるか。


「「さあ、答えをどうぞ。」」


双子は急かすようでゆっくりと促す。

女性は一息吐くと唇を開いた。


「私の幸せは彼と過ごす時間。」

「その言葉を」

「その決断を」

「「待っていました。」」

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