タバコなんて身体に悪いだけ


「タバコ、吸ってないよな?」

「は?」


いきなり突拍子もない事を言い出した悪魔――じゃなくて鈴堂鷹乃様。ちなみに俺から一つ飛ばした後ろの席。
一つ飛んでる理由?それは分かってくれるかな。大丈夫、3時間も一緒に居たら理由が分かるから。


「タバコがどうしたって?」


それは俺じゃなくて郁に言った方じゃ良いんじゃない?
ほら、向こうは一応不良な訳だし。鷹乃様に散々遊ばれてる不良。

あぁ、本人は今ここに居ないんだった。居ない理由?それも察して欲しいなぁ…。


「タバコって体に悪いって知ってたか?」


タバコよりも貴方様の存在自体が体に悪いです、と大声で言ってやりたい。
あ、止めとこ。二度と声が出せなくなる。


「知ってるけどさ、いきなりどうしたんだよ。」


そう言うと見る見るうちに笑みが浮かんでいく。あれ?俺何だか地雷踏んだ?


「いや別に?俺はただクラスメイト(ご主人様)として猿吉の体を案じてだなぁ…。」

「何だか嘘っぽい空気を感じた!そしてご主人様って副音声が入った気がする!!」


咄嗟に口を出た言葉。仕方ない、仕方ないよな!
俺の事を猿吉って呼んでる時点で案じてない。つーか鷹乃様の場合は『案じる』じゃなくて『追い込む』だって!


「へぇ〜……俺の事信用してないんだ?間違った事言ってねぇのに?」


信用って言葉はもっと別のシーンで使って欲しいな。もしくは別の性格になってから。
そして間違いとかじゃなくて納得より恐怖が先に来るんです、分かって下さい。


「俺の許可無しに体調崩すなよ?どうしてもって言うなら俺が直々に手を下してやるから心配すんな。な?」


すっげぇ心配!
ああ、貴方のその笑顔が眩しすぎる。直々って言われた時の寒気がまだ消えない。


俺の人生はどこに向かってるのだろうか……。

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